更新日:2023.01.10続・ヒツジのポポが亡くなりました
続・ヒツジのポポが亡くなりました
2022年(令和4年)12月28日 ヒツジのポポが16歳で天国へ旅立ちました。
ポポは2006年に埼玉県こども動物自然公園で生まれ、生後半年のときにポポのおばあちゃんのサマンサと一緒に金沢動物園のほのぼの広場にやってきました。そのかわいらしい姿からたくさんのお客様に愛されてきました。私は、2014年から5年間、ほのぼの広場の担当をしてきました。パンチのきいたクリクリの毛、まんまるなボディ、そして短めな脚。私もすぐにポポのファンになりました。
担当が変わってからも、ポポの好きそうな草を手土産に、時々ポポの様子を見に行っていました。年を重ねて身体のあちこちに支障はでてきていましたが、食欲はあり、持って行った草はいつもあっというまに食べていました。
ところが12月26日、ほのぼの広場の担当者から、ポポが全然食べなくなって危ないかもしれないと連絡をもらいました。ポポが食べそうな草を持ってお見舞いに行きましたが、立って歩いてはいるものの全く食べようとはしませんでした。
12月28日の朝、やわらかそうなカラスノエンドウを見つけたのでポポに持っていきました。ポポはまだ横になっていたので、匂いを嗅がせてみましたが、やはり食べる気配はありませんでした。無線で呼び出されたので、「あとでまた来るね」と告げてすぐにその場をはなれました。
午後の作業を一段落つけたところで、ほのぼの広場に向かいました。ポポは朝展示場に出たもののふらついたため、寝室に戻っていました。私が到着したときは横になっていたので、ポポに話しかけていると、ほのぼの広場の担当者が来ました。一緒に布団を敷いてポポを寝かせながら、明日の朝にはもうダメだろうなぁと感じました。クリクリだったポポの毛は年をとってうまく生えなくなっていたため、夜の間は床擦れをしないように褥瘡(じょくそう)防止の布団に寝かせ、上から毛布をかけて寝ていました。
いつものように毛布をかけてもらうと、安心したのか少し目に力がなくなったのがわかりました。私はまだ少し時間があったので、ポポに付き添うことにしました。「みんなの音がするから安心だね」ほのぼの広場の動物たちの声や収容準備や掃除の音がして、いつもと変わらない夕方の心地よい時間が流れていました。
ポポの顔を撫でながら話をしていると、ポポが少し口をあけたので喉が渇いているのかと思い、タオルの端っこを水で湿らせて口を拭きました。鼻の汚れをきれいにして、もう1度口を拭こうとしたとき、息をしていないことに気づきました。ポポの名前を呼び、体をトントンとしてみましたが反応はありませんでした。それがポポの最期でした。
後日、ポポの様子を観察するためにつけていたカメラの映像を見返しました。私が到着したのは15:14、毛布をかけて安心したのが15:35、そして息をひきとったのは15:39でした。
あと30分到着が遅かったら、朝ポポにした約束を守ることができないところでした。
ポポは苦しむことなく、スーッと逝ってしまいました。本当に穏やかで、私にはポポが満足しているような顔に見えました。
いつもポポに会いに来てくれるお客様がいたこと、たくさんポポに話しかけてくれたこと、年をとったポポのために担当者が、毎日乾草をふるいにかけて食べやすくしてくれていたこと、脚が悪くなったポポが少しでも歩きやすいように蹄を調えてくれていたこと、床擦れしないように布団に寝かせてくれていたこと、冬には寒くないように毛布をかけたり、服を着せてくれていたこと。
きっとポポは幸せだったのだと思います。ポポの最期を思い返しながら、私があのタイミングでポポのもとにいたのは、そのことをお伝えするためだったような気がして、今回ブログを書かせていただきました。
ポポ
ほのぼの広場の仲間になってくれてありがとね。ポポに出会えて本当によかった。
(元ほのぼの広場担当 かそ)