更新日:2023.05.15カンガルーブログ ペンタが亡くなりました。
カンガルーブログ ペンタが亡くなりました。
5月10日オオカンガルーのペンタ(オス・6才)が亡くなりました。
ペンタは1年程前から時折ダルそうな様子が見られていました。血液検査からはこれといって原因が特定出来ず、その後も月1回の検査を続けていました。
なんとなく調子が悪そうな様子以外は、他の個体と変わりなく過ごしていました。食べているのに他の個体のような成長期の体重の伸びが見られず、どうしたものかと悩んでいると、徐々に体重の減少が始まりました。相変わらず血液検査では原因が分からず、漢方薬を飲ませてみたり、お灸で体を温めたりと、新しい治療法も試してみました。
▲採血中のペンタ
2022年の冬からは他の個体の闘争に巻き込まれる事を避けるために、展示を中止してバックヤードで休ませていました。同じくバックヤード組のナミトとの仲は良好で、2頭でのんびりと日向ぼっこをしていました。
▲サブパドックでナミト(上)と寛ぐペンタ(下)
▲あられもない姿になることもしばしば...(ペンタは左)
その後、お灸や漢方薬の投与などの関係で、日中はさらに陽当たりの良い個室でのんびり餌を独り占めして過ごし、他の個体が帰ってくる時間に合わせ群れに戻る、といった生活をしていました。
▲お灸中のペンタ
亡くなる2日前、時間をかけながらも自力で歩いて群れの部屋へ戻り、いつも通り採食が見られました。しかし翌朝出勤すると、起き上がれず、声をかけるとわずかに顔をあげるだけでした。個室に移動させ冷え切った体を温めると、多少反応は出来るものの、夕方にはだんだんと音への反応が薄れていき、翌日の朝亡くなっているのを確認しました。死因は現在調査中です。
★★★
カンガルー担当になった頃ペンタは、まだやんちゃな1才の小さなカンガルーでした。
▲オス群れに移った頃のペンタ(右)
オス群れに移ってからも常にテンションは高く、よく背後から忍び寄って蹴ってくるいたずらっ子といった印象でした。
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▲ウォークスルーに出た際のペンタ(右)
成長するにつれて穏やかな性格に変わり、カンガルー同士の喧嘩はあまり加わらない個体でした。耳血腫の治療跡でペコっと折れた右耳のお陰で個体識別もしやすくなり、来園者の方々からも《ペンちゃん》と親しまれていました。
︎ペレットと青草さえあれば、採血もお灸も我慢して付き合ってくれたペンタ。体調を崩したまま長い期間を過ごさせてしまったこと、申し訳ない気持ちでいっぱいです。ペンタが過ごした日々が、少しでも楽しいものであったことを願うばかりです。ペンタでの経験をこれからも暮らし続けるカンガルーたちに還元できるよう、努めていきたいと思います。
最後に、ペンタを気にかけていただいたみなさま、これまでありがとうございました。
(しばた)