更新日:2024.04.14バーラルの捕獲と保定
バーラルの捕獲と保定
動物園では、動物の健康管理のために、動物の動きを制限する(保定といいます)ことが必要になる場合があります。
今回はスーチョワンバーラルの捕獲と保定についてです。
野生と比べ、動物園の展示施設では蹄がバランスよく削られないことが多いため、蹄の状態を観察しながら定期的に保定下にて削蹄を行います。
以前は、職員がバーラルと同じ空間に入って捕獲をしていましたが、双方のケガのリスクが大きいため現在は違う方法で行っています。
バーラルは跳躍力に優れた動物なので、危険を察知すると得意のジャンプで逃げ回ります。
(壁を蹴って跳ねている様子)
想像してみてください。壁を蹴って天井近くまでジャンプしている50kgほどの動物を身ひとつで捕まえなければいけない状況を。
担当者もこわいと思ってしまいますが、動物もこわかったと思います。
そのため、現在は動物と同じ空間には入らず、柵の外から角にロープをかけて捕獲します。
「引き解け結び」という結び方でロープで輪っかを作り、それを棒に引っ掛けたら準備OKです!
ちなみにこの結び方は自由に輪っかの大きさを調整できるうえ、先端を引っ張ると簡単にほどくことができるため、万が一動物がロープに絡まってもすぐにほどくことができます。
では実際に捕獲している様子をご覧ください!
ロープを扉の外から中へ差し込んで...
角に輪っかを引っ掛けて...
ロープが外れないように輪っかを小さくして...
ロープをたぐり寄せて、扉の外に結んで固定したら完了です!
捕獲後、角を持ったり、ケアする脚を持ち上げたりして最終的に保定完了です。
これだと逃げられる心配もありませんし、安定して治療や削蹄を行うことができます!
動物への負担をなるべく減らし、短時間で安全かつ確実に捕獲・保定をするために、かつてのバーラル担当によって編み出された技です。
動物園ではこのように様々な工夫をしながら日々飼育をしています。
飼育展示係 いかり