更新日:2024.06.07カンガルーブログ 柵越しの関係
カンガルーブログ 柵越しの関係
オオカンガルーの展示場でしばしば見られるこちらの光景。
ガラスビュー展示場にいるオスが、近くに来たメスの匂いを嗅ごうと必死に首を伸ばしています。一方の右側のメスは特にオスに興味はなさそう...
この光景、実はオオカンガルーの繁殖行動に関係があります。
動物種によっては発情が来ているメスはオスへアピールすることがありますが、オオカンガルーの場合そのような特徴的な行動は見られません。発情が来ていればオスを受け入れ、非発情期であれば全力で拒否します。
▲2022年ペアリング時 メスへアプローチするオス(手前)と拒否するメス(奥)
オオカンガルーのメスの発情周期は約45日。文献によると、発情が近づくとメスの育児嚢や排泄孔のにおいに変化が出るのだとか。オスは日々熱心にメスのにおいを嗅ぎ、発情の変化を捉えようとしているようです。
▲2022年ペアリング時 排泄孔のにおいを嗅ぐオス(右)と許容するメス(左) ※ペアは上の個体と一緒ですが、別日の様子
※オスとメスを一緒に飼育していると、繁殖して数が増えていきます。赤ちゃんが多いと賑やかになり展示効果としては有効ですが、飼育頭数が増えることで1頭当たりに提供できるスペースが狭くなってしまいます。結果、管理の行き届いた飼育が困難になるおそれがあり、動物園では飼育頭数のコントロールが必要です。金沢動物園では、適正な飼育個体数を保つため、現在オスとメスを分けて飼育しています。
オスはメスと同じ空間に入ることは出来ませんが、日々メスの発情チェックに勤しんでいます。柵越しにメスが来るのを待ち、メスが近づくと首を伸ばしにおいを嗅ごうとしているわけです。
オスはメスへアピールしているようですが...
オスをちらっとみたメスは、
すぐに草を食べだしてしまいました。
オスの努力が実る日は来るのか。今後の繁殖計画については、現在検討中です。
(しばた)