更新日:2017.07.31あなたの知らない むし・虫・カブトムシ!展その1~ミヤマクワガタの繁殖~
あなたの知らない むし・虫・カブトムシ!展その1~ミヤマクワガタの繁殖~
先日園内でジャコウアゲハ、モンキアゲハ、カラスアゲハが三つ巴で絡み合うように飛んでいました。一般の方から見れば何のことはない黒いチョウがいっぱいという感じなのでしょうけど、元昆虫少年の私から見れば、超大興奮の光景でした。皆様いかがお過ごしでしょうか。
外国産を中心にむし・虫・カブトムシ!展も大盛況ですが、身近な生きもの館で展示しているミヤマクワガタは実は横浜市内産の個体群の子孫です。
それが何か?と思われるかもしれませんが、本来標高が高く、涼しい気候の地域に生息するミヤマクワガタが標高の低い横浜市でまとまった個体群として存在することは大変希少なことなのです。この希少な個体群を域外保全できるよう、バックヤードで繁殖に努めています。
身近な生きもの館の前任者がミヤマクワガタの繁殖を頑張って、繁殖技術を確立してくれていました。今でこそ身近な生きもの館があり、エアコンでミヤマクワガタ飼育に必要な23℃以下の温度を保てているのでいいですが、数年前まではエアコンがなかったので、飼育水槽を土の中に埋めるなどして気温の高い夏を過ごしていたそうです。
写真は来年活動する成虫になるミヤマクワガタたちで40匹以上います。9月ごろ成虫になり、そのまま冬を越して来年の初夏に出てきます。
今年も展示個体以外のミヤマクワガタは繁殖水槽をセットしてペアリングしています。オスメス複数群や1匹ずつなど様々な組み合わせで試しています。
メスが昆虫ゼリーを食べているところにオスがやってきました。ちなみにこのゼリーも健康に生きて良い卵を産めるように高タンパクのゼリーを使っています。果物を餌にすると糖分と水分ばかり多いので、長生きしませんし繁殖成績も落ちます。
メスが逃げ出したところ、オスが覆いかぶさるように追います。
最終的にはがっちりロックしていました。どの水槽でも交尾が確認できています。メスが潜ってしばらく地上に出てこないことがあり、きっと産卵しているのではないだろうかと思っています。
さあ、今年は何匹の幼虫が産まれるかな?
(飼育展示係 桐生)