更新日:2018.05.08春咲くタンポポの仲間
春咲くタンポポの仲間
ゴールデンウィークも終わり、晩春から初夏へと季節の変わり目にさしかかりました。
前回、「ハンカチノキ」でも触れましたが、公園内の樹々や草花は例年にくらべて、一様に十日くらい前倒しで開花しています。
ジャケツイバラ然り、ナンジャモンジャノキも然り、ヤマボウシもまた然り。
ちょっと待ってよ!と言いたいくらい、なんだかせわしい束の間の春でした。
今回は切り口をかえ、役者が出そろったタンポポ型の花のおさらいをして、一区切りつけてみたいなと思います。
キク科の中にタンポポ亜科と呼ばれる、比較的まとまったグループがあります。
頭花が舌状花のみからなり、茎や葉を切ると白い乳液を出すというのがその共通の特徴です。
舌状花は下部が筒状、上部は花弁が数枚平行にくっついて舌状になっているもののことで、合弁花のひとつです。
不鮮明で申し訳ありませんが、先端のギザギザから、一つ一つの花が、実は5枚の花びらが合着した合弁花だとわかります。
つまり、「タンポポ型の花」って小さな花の大集団なのですね。
このあたりのタンポポには大まかに見て2種類あります。
いちはやく3月に咲き出すのが在来種のカントウタンポポで、総苞片がピタリと直立しており、花は短期間に限定されています。
それに対して、一か月ほど遅れて咲き出すのがヨーロッパ原産のセイヨウタンポポで、総苞片がつぼみの頃から反りかえっているのが特徴です。
今咲いているタンポポを見かけたら、セイヨウタンポポとみて間違いないでしょう。
花がタンポポにそっくりなのに、首が異様に長くて上部で枝分かれしているのは、同じくヨーロッパ原産のブタナです。
だいたい在来のタンポポが咲き終わる頃、入れ替わるように咲き始めます。
葉はすべて根生葉ですが、茎をよーく見ると退化した葉が鱗片状についています。
おもしろいのはその名前で、「ブタのサラダ」というフランスの俗称を直訳したとのことですが、ユーモラスというか、なんというか...もうちょっと何とかならなかったのかしら...。
丈が低くて地面をびっしり覆うように咲いていたらジシバリです。
少し掘ってみるとわかりますが、クモの糸のように柔らかい匍匐枝(ほふくし)が縦横に地面を這っていて、その先で所々根を出しては、広がっていきます。
ジシバリより全体が一回り大きく葉が長いへら形をしたオオジシバリもあって、園内には両種が接近して群落になっているところもあります。
漢字で「地縛り」と書けばピンとくるでしょう。畑作農家の人たちが嫌う強害雑草のひとつです。
オニタビラコは直径が1cmにも満たない柔らかい繊細な花をたくさんつけるので他と容易に区別できます。
地面に広がったロゼット状の葉っぱのまん中からすっと伸びた茎がスマートです。春の七草のタビラコより大きいのでオニがついています。
ノゲシはケシに似たギザギザの歯形と、切り口から白い乳液を出すことから名付けられました。
アキノノゲシと混同を避けるためにハルノノゲシと呼ばれることもありますが、園内では実際にはほぼ一年中花が見られます。これは春に咲く越冬個体と秋に咲く当年性個体とがあるためで、これなら単にノゲシと呼んですむわけですね。
コウゾリナは漢字で「顔剃菜」と書き、かおそり(かみそり)がなまったものです。これはいったい誰が名付けた名前なのでしょうね。
茎や葉に剛毛が生えていて、さわるとザラザラします。
こうしてみると、一口にタンポポの仲間といってもずいぶんと個性に幅があることがわかります。散策がてらそんなことにも目を凝らしてみたら、また面白い発見があるかもしれません。
ご来園をお待ちしています。
(担当:マグノリア)