更新日:2024.07.03春の音楽
春の音楽
イソヒヨドリという鳥は「磯」と種名についているとおり、海岸近くでよく見かける鳥ですが、春から夏にかけては野毛山動物園の辺りでも見かけることがあります。
▲ブログ「幸せの青い鳥 み~つけた!」より
こまかい説明は図鑑などに書かれているので省略しますが、崖のような所に巣を作るので、高いマンションの屋上やベランダにも巣を作るようになったようです。比較的内陸側の高い建物でもよく目撃されています。
野毛山動物園の動物病院にはオスのイソヒヨドリがいます。この個体は巣立ちに失敗したらしく、マンションの高い所で保護されましたが、保護時すでに右の翼の一部と左の足の一部が骨折して壊死(えし)してしまっていました。イソヒヨドリを間近で見ることはそう多くないと思うので、ガイドなどでお見せできる時に見ていただこうと思っています。1年の半分以上が鳥インフルエンザの危険が高い期間になってしまっているのでその機会はなかなかないのですが......。
▲動物病院にいるイソヒヨドリのオス
イソヒヨドリはきれいな高い声でさえずるので「ヒヨドリ」と名づけられたようですが、ヒヨドリとはあまり近い仲間ではなく、ツグミなどの仲間です。きれいな鳴き声で積極的に鳴くのは春から秋ごろまでで、それ以外の季節はあまり鳴かなかったり、地鳴きというあまりきれいではない声で鳴いたりします。オスがよく鳴くのですが、子育てのころはメスもよく鳴きます。
▲クリックすると短い動画が再生されます
この個体は春になるとさえずりはじめて、いくつかの定番の鳴き方の他にアドリブで鳴くようなこともあり、シジュウカラやヒヨドリの鳴きまねをすることもあります。定番の鳴き方の中に、ちょっと気になるものがあります。それが▼この鳴き方です。
▲こちら側に来て鳴くというかアピールするイソヒヨドリ(矢印)。他にも保護されてる鳥のケージが並びます。(クリックすると短い動画が再生されます)
聞きおぼえありませんか?リズムと抑揚(よくよう)がヴィヴァルディ作曲の「春」※の第1楽章の最初の主題に似ていませんか?今からちょうど300年くらい前のヨーロッパで、ヴィヴァルディがイソヒヨドリの声を聞いてあの曲の歌いだしに応用したのかもしれないと想像すると、崖の多い海辺で聞いたのだろうかなどとさらに想像がふくらみます。(ちなみに鳥のさえずりを表現したと思われる部分はコマドリやメジロの鳴き声のような感じです)
※協奏曲 第1番 ホ長調 RV 269「春」
ヴィヴァルディの「春」は有名なのでご存知かと思いますが、ピンとこなかったらネット動画などで聞いてみてください。
鳥の鳴き声には「ききなし」などありますが、音程で似ているものを探すのもおもしろそうです。
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[桐]