更新日:2024.08.04サルたちと氷 ~アビシニアコロブス編~
サルたちと氷 ~アビシニアコロブス編~
前回のフサオマキザル編に続き、今回はアビシニアコロブス編です。
フサオマキザルは頭数が多いので細かい氷をたくさん作りましたが、コロブスは2頭だけなので2つだけ。
中身はリンゴとオレンジにしました。
本当は蒸イモがいちばん好きなのですが、イモを氷漬けにするとべちゃべちゃになって美味しくないかな...と考えてこのチョイスです。
フサオマキザルと同じく、薄めた経口補水液で氷漬けにしました。
超絶ビビリなコロブスたちなので、近づかないまま溶けてしまうことも想定していましたが、意外とすぐに走って近づいてきました。
最初はメスのアズキが触ろうとしていましたが、オスのソラマメが押しのけて横取りしてしまいました。
ソラマメはビビリなくせにアズキへの態度は超でかく、アズキはいつも遠慮がちです。
しばらくじーっと氷を見つめ、
かじろうとしました。
が、固い上につるつるすべってかじれません。
なんか食べにくいんですけど、とでも言いたげなこの表情。
その後、不満気な表情のまま、どうすれば食べられるかチャレンジすることも、氷を舐めることもなく、どこかに行ってしまいました。
あっ。
チャンスかも。
ソラマメが立ち去ったことを確認し、ずっと後ろで見ていたアズキが氷に近づきます。
つるつるしていて片手ではなかなか掴めませんでしたが、なんとか両手で掴んで口元へ。
しかし、少しだけ舐めたらアズキもすぐにどこかへ行ってしまいました...。
これで終わりかと思いきや、その後予期せぬ事態が。
しばらくするとソラマメが氷の元へ戻ってきたのですが、なんと何故か鳴き始めたのです。
ゴロロロ、ゴロロロ、と低い声で鳴くソラマメ。
この鳴き声は、縄張り主張や威嚇の意味があるそうです。
野毛山動物園のコロブスは滅多に鳴くことはなく、私も4月にサル担当になってから初めて聞きました。
止まり木に移動してさらに鳴き続けます。
ソラマメの鳴き声に反応して、アカエリマキキツネザルも鳴いており、しばらくの間サル舎付近は大変にぎやかな状況となっていました。
普段とは違う状況(見慣れない餌や、担当者が普段よりも長時間近くで観察しているなど)に警戒したのか、この時近くに野鳥がいて鳴いていたためそれに反応したのか、なぜ鳴き始めたのかは不明です...。
そしてその後、そのまま氷は溶けてしまいました。
フサオマキザルではとても反応の良かった餌入り氷ですが、コロブスでは残念ながらイマイチな結果となりました。
(思いもよらず、滅多に見られない鳴き声を観察することはできましたが)
ちなみに、冒頭でもお伝えしたように、氷は2個作っていました。
取り合いにならないように1個ずつ別の場所に置いたのですが、なぜかもう一方の氷は見向きもされず...。
中身も大きさも同じなのに、不思議です。
両個体とも、もう1個あることには気付いていたはずなのに...。
※隣の大きな氷は暑さ対策で置いているものです。
以上、今回はアビシニアコロブス編でした。
次回はアカエリマキキツネザル編を更新します。
(飼育展示係 小島)