更新日:2016.08.25インドホシガメの手術
インドホシガメの手術
注)今回のブログ写真の中には手術シーンがあります。目にされたくない方はご遠慮ください。(写真はモノクロにしてあります。)
お腹の中に卵があるのに、なかなか卵を産まないインドホシガメがいました。
なぜ卵があるのがわかったかというと、レントゲンを撮ったからです。
このように4個の卵が確認できました。
形のいい1個(①)は注射をして産ませることができたのですが、残りのいびつな3個はちっとも動きません。
このままお腹の中に残しておくわけにもいかないので、手術をして取り出すことにしました。
手術といっても、カメには硬い甲羅があるので、まずそれを切らないといけません。医療用の電動ノコギリのような器械を使って切開します。
そのあとは哺乳類や鳥類と同じように、腹膜を切開して、卵巣と卵管を切除しました。
なかなか産まれなかった卵は、卵管の外にある状態(卵墜といいます)だったので、取り出しました。
一部は膀胱にくっついていたので、その部分の膀胱を切除し縫合しました。
すべて終わると腹膜を元通り閉じて縫合し、甲羅も閉じます。
白い円盤は接着剤として使用している補修剤(エポキシパテ®)です。
さてこの写真をよく見ると、切開した線が二重にあるのがわかるでしょうか。
実はこのホシガメ、4年前にもやはり卵を産まなくて、一度開腹手術をしているのです。そのときは、卵管から卵を取り出すだけで、手術を終えました。そのときに切開したのが内側の黒い線です。
今回、またうまく卵を産めなかったため、今後のことを考え、卵がもうできないように卵巣と卵管を摘出することにしたのです。
術後の経過は順調で、2日後には採食し、3日後には排便排尿も認めました。患部からの滲出液もほとんどなく、このまま傷がくっついてくれれば完治となります。とはいえ、甲羅がくっつくには数か月単位の時間がかかるので、まだまだ油断はできません。
術後管理をしっかりとし、このまま無事治ってくれることを祈っています。
(飼育展示係 小野)