更新日:2016.10.04野趣あふれるキクの仲間たち
野趣あふれるキクの仲間たち
お彼岸も過ぎて、いよいよそこかしこに秋の気配が感じられる頃となりました。
野山ではシロヨメナが咲き始めました。
今回は、おもしろ自然林やハイキングの遊歩道で見られるキクの仲間をいくつかご紹介します。
いずれも素朴で個性豊かな花々で、味わい深いものです。
キク科の花は一般的に、小さな花がたくさん集まって、あたかもひとつの花のように見える構造をしています。
これを植物用語では頭状花序(略して頭花)と呼び、真中部分に筒状花(一見、棒状)がかたまっていて、そのまわりを舌状花(一見、花びら)が取り巻いています。
これは、花粉を媒介してくれる昆虫を引きつける役割を果たしていて、キク科植物は最も進化した花の形態を持つと言われています。
それでは、いくつかの種を紹介いたします。
【アキノノゲシ】
夏(6月~7月)に咲いたムラサキニガナと同属で、すらりと背が高く、中には人の背丈よりも伸びるものがあります。
花は淡黄色で、ととのった花形はどことなく上品です。
私たちがふだん食べている野菜のレタスはなんとこの仲間ですって!
【シラヤマギク】
これも大きいものでは1.5メートルくらいの高さになります。
下部の葉は大きな心臓形で、長い柄があり、柄には翼があるのが特徴です。
舌状花は白ですが、くしの歯が抜け落ちたように数が一定せず、まばらな感じがします。
そのせいか、林の中でひっそりと咲いているという感じをうけます。
【ヤクシソウ】
六国峠ハイキングコースの高速側道で早いものは8月から咲いていました。
こんもりと盛り上がるような姿で、横に細かく枝が広がり、すき間がないくらいたくさんの花をつけます。
茎葉の基部が大きく耳状に張り出して茎を抱くのが特徴です。
花が開くのは晴天の日中だけ、それ以外の時はしぼんだままです。(これはアキノノゲシと同様です。)
このヤクシソウやヨメナの花が、私たちが庭でふつうに見る菊に一番近いイメージかも知れませんね。
【コウヤボウキ】
しだの谷からさくら山に上る途中に群落が見られます。
茎は木質化してかたく、キクの仲間とは言っても、通常、低木に分類されます。
上記3種とはちょっと雰囲気が変わっています。これはアザミと同様に筒状花だけからなっているせいです。
コスモスのような花びら(厳密には花びらに見える舌状花)がないのですね。
昔、高野山で冬に葉を落とした茎をたばねてホウキの材料としたことからこの名があります。
【ベニバナボロギク】
頭花はコウヤボウキと同じく筒状花だけからなっています。
少しくすんだ紅色の花は下向きにうなだれたままで平開しません。
全体として柔らかく、みずみずしいひょろりとした印象です。
原産地はアフリカで南方の各地に広がりました。
過去に、これをシュンギクの代用としたという逸話を耳にしたことがありますが、うそかまことか、本当はどんな味がするのでしょう。
暑さ寒さも彼岸まで。
これからは一年で最もすごしやすい季節を迎えます。
野山の散策、ハイキングにお出かけになってはいかがでしょうか。
金沢自然公園へぜひお越しください、お待ちしています。
(担当:マグノリア)