更新日:2017.03.27成長
成長
今回はある1頭のオオカンガルーについてお話したいと思います。※長文です
名前は、「エル」。メスで今年3才になります。
どうしてエルを選んだかというと、私が初めて担当したオオカンガルーだからです。
エルに分かりやすい特徴はありませんが、左耳に若干白い部分があるのと、おでこに綺麗な弧の形をしたラインがあります。
左耳
おでこ
正直、とても小さな特徴なので、慣れないと見つけるのは難しいです...。
ちなみに、おでこの模様は1頭1頭違います。
以前のブログにもおでこの模様について記載しているものがありますので、ぜひご覧ください。
エルは、もともと群れに入っていませんでした。
エルのお母さんが群れから離れて生活していたので、生まれてしばらくは、群れにかかわることがありませんでした。
こちらは、小さい頃のエルとお母さんのエマニエルです。
私が担当し始めた頃にはすでに袋から完全にでていました。
当時のエルはとても臆病で少し近づくだけで遠くへ逃げてしまい、エサをあげても私が部屋をでないと食べない程でした。
そのため、薬をあげる際や体重測定する際は大変苦労しました。
私の技術もほとんどない状態だったので、エルにはたくさん迷惑をかけてしまいました。
その後、乳離れし、一人で過ごせるようになったので、群れへ仲間入りさせることにしました。
こちらが群れに戻したときの様子です。
最初は他のカンガルーに警戒され攻撃されることもありましたが、徐々に受け入れられ、新しい展示場になる頃にはすっかり群れの中に溶け込んでいました。
そして月日が経ち、なんとエルはお母さんになりました。
エルのような若い年齢で出産したカンガルーは、赤ちゃんを袋から落としてしまうことがしばしばあるのですが、エルは赤ちゃんを落とすことなく、しっかりと育てています。
ちなみに、赤ちゃんの名前はアルファベットのLから始まる言葉の「ルナ(Luna)」になりました。
これから、少しずつ外にでる時間が増えてくると思います。
エルがお母さんになったことも驚きなのですが、それ以上に驚いたことが、エルの性格が以前に比べ穏やかになっていたことです。
昔は逃げてばかりでエサもなかなか食べていませんでしたが、今は隣にいても逃げませんし、私の手からエサを食べてくれるほどです。
手からエサを食べるエル↑
群れに入り、安全性の確保や多くの仲間とコミュニケーションがとれた影響などにより、エルも心身ともに大きく成長したのだと思います。
牧草を食べるエルと興味を示すルナ↑
私は今年で飼育係3年目となりますが、エルの成長を横でみて、自分はどのくらい成長できたのかなと、ふと思うことがあります。
まだまだ、至らない部分が多々ありますが、いつかエルのように大きく成長したいなと思います。
長文を読んで頂きありがとうございました!
ぜひ、オオカンガルーの展示場に足を運んで頂き、エルとルナの成長していく姿を見て頂ければと思います!
(佐藤)