更新日:2018.11.20シメジとシメコの報告
シメジとシメコの報告
今回はみなさんに、残念な報告をしなくてはいけません。先日、ウォークスルーで活躍してくれていたシメジ(メス)とそのこどもが亡くなりました。よく来園者の近くまで行き親しんでいただいた方も多いかと思うので、経過をご報告します。
文字多めですがご了承ください。
今月に入り、ウォークスルーに出ている群れにお母さんの袋から顔を出し始めたこどもがいました。
お母さんの名前はシメジ、こどもはメスだったのでシメコと呼んでいました。
11/5撮影の、シメジとシメコ
11/8の朝、シメジは立つことができず横になっていて、袋から出てしまったシメコが寝室の隅で母親を呼んで鳴いているところを発見しました。
シメコはまだ自分の力でお母さんの袋に戻ることができる時期ではありません。外はまだシメコには寒く、シメジは子育てを続けられる状況ではなかったので、担当がシメコを回収し保温しました。
一方、シメジはその後フラつきながら立ち上がろうとしていましたが、しばらくして担当が見守る中静かに息を引き取りました。
解剖の結果、シメジの腹部に大きな腫瘍があり、それが原因で亡くなったことが分かりました。腫瘍の大きさからすると、ずいぶん前から患っていたようでした。自分の観察不足を深く反省するに尽きるのですが、当日の朝までシメジの様子に変わりはなく、具合が悪かったことに全く気付くことができませんでした。
シメコはこの日まだ元気があり、母乳さえあれば育つかもしれないという願いの元、このブログを長く読んでいる方はご存知の、おおらかで自分のこども以外も受け入れてくれる可能性の高いミクロに託すことにしました。ミクロの子のミロは、すでに十分に育って袋は卒業しており、ほかのお母さんたちから乳をもらっていることがよくあったのも幸いでした。
カンガルーは成長段階に応じて乳の成分が変化していくため、当然ミロとシメコで欲する栄養価も違うので、当然はじめはお腹の調子が悪くなることは想定していました。人工哺育にすることは簡単でメリットもありますが、カンガルーとして生きていく上でのデメリットもたくさんあります。様々な要素を考慮し、今回は出来る限り群れのなかに留める対応をする事にしました。
シメコをミクロの袋に入れてしばらくすると、乳首に吸い付く様子が確認できました。
一方、急に袋にこどもが現れたミクロは、しばらく落ち着かなかったので一部のオスだけ展示場に残して、群れごとバックヤードで過ごさせることで、ミクロをなるべく刺激せず現状に慣れてもらうよう努めました。
こちらは、まだミクロに面倒を見てもらえず体が汚れてしまったシメコをお湯で洗っている様子です。
数日はこどもを追い出さないまでも、体を舐めるなどの一切の世話をしなかったミクロですが、3日目にはシメコの体を舐める様子が確認できました。
ミクロのおかげで、ミクロとシメコの新たな親子関係がうまくいくか思われていた矢先、11/15朝、残念ながらシメコは亡くなっていました。おそらく何らかのタイミングで袋から出たときに、他の個体とぶつかってしまったことが原因と推測されます。シメジが体調が悪い中でも子育てをし、ミクロが徐々にシメコを受け入れ始めてくれたことを思うと、非常に残念な結果となってしまいました。
現在群れは落ち着き、通常通りのウォークスルーとなっていますが、シメジのいない展示場はなんだか寂しく感じます。
(しばた)