更新日:2020.08.19ライバル視
ライバル視
立秋が過ぎたので、暦的には「秋」なのですが、毎日が暑すぎます。
こんなうだるような暑さの中、セミたちは精一杯生きて、次の世代へと命を受け継いでいっています。
(キジ舎前にて撮影)
そして、繁殖期が過ぎたインドクジャクの雄たちは自慢の上尾筒がすっかり抜け落ち、こじんまりした姿になっています。
毎年お伝えしているかもしれませんが、これからの時期は「羽、広げて~」とインドクジャクにお声かけいただいても、広げる上尾筒は持ち合わせていませんので、ご期待には沿えません。すみません。(来年の3月頃から再び大きな羽を広げると思いますので、気長にお待ちを)
季節が移ろい、少し寂しくなりかけたキジ舎ですが、実は毎朝、熱いバトルが繰り広げられています。
6月にキジ舎に引っ越してきたインドクジャクのジャック(雄)。
最初は直立不動で尻込みしていたジャックも今ではすっかりキジ舎での生活を満喫しています。
そんなジャックのことをお隣で暮らすインドクジャクのアズキ(雄)はちゃんと大人の雄として認め、『ライバル視』するかのように、毎日、格子越しに羽を広げて自分を誇示しています。
本来なら、先輩クジャクであるアズキに雄として認められることは、ジャックにとって喜ばしいことであるはずなのに、本人(クジャク)はどこ吹く風。
それよりも、飼育担当者が獣舎清掃時に使っている手帚に『ライバル視』むき出しなのです。
よく見るとこの箒、何となくインドクジャクの雄の色合いに似ていませんか?
だからどうかは定かではありませんが、とにかく、あたりが強い。
ゴミを掃いていても手帚をつついたり、蹴飛ばしたりしてくるので掃除ができません。
写真でおわかりのとおり、とにかく粗ぶっています。
結局、手帚には太刀打ちできないとわかると、矛先は飼育担当者に向きます。
理由はわかりませんが、飼育係の作業用ズボンのポケットとキーチェーンが次のライバルに。
完全にポケットをロックオン。
「これでもかっ!」ってくらいにポケットを引っ張ります。
そして、ポケットも相手にならないと分かると、最終手段は飼育係にとって最も大切な鍵に狙いを定め、保護するためのキーチェーンをビヨーンと伸ばして鍵を取ろうとするのです。
本当に、鍵だけは勘弁してください。
これが毎朝繰り広げられるので、清掃が終わるころにはジャック自身も飼育担当者も一仕事終えた感があり、ぐったりです。
キジの仲間の雄は気性が荒く、野生のニホンキジも郵便配達員の方が乗るバイクを敵対視するという話も聞いたことがあります。ジャックの場合もこれと同様、自分のテリトリーに飼育担当者が入ってくるのを阻止しているものと思われます。
1羽暮らしのころから多少はあった行動ですが、雌のリンと同居したことにより、縄張り意識が強まったのだとも思います。
それもジャックの成長のひとつで、担当者としては喜ばしいことですが、朝の忙しい時間に掃除がはかどらないのが悩みです。
獣舎内に入らないときは、いつも通り、いい子のジャックなんですけどね。
※全体的に写真がブレブレですみません。ジャックの感情が少しでも伝わると良いのですが・・・。
飼育展示係 大谷