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注射トレーニングの進捗状況の写真

更新日:2024.02.19注射トレーニングの進捗状況

更新日:2024.02.19

注射トレーニングの進捗状況

以前、野毛山動物園公式X(旧Twitter)に、

コブヘイとコウタロウが注射トレーニングに取り組んでいる動画を載せたのですが、

今回はその進捗状況についてお知らせしたいと思います。

注射を打てるようになると、チンパンジーが病気になった際の的確な治療法の一つとなり、

また麻酔が必要になった際も吹き矢等の過度なストレスをチンパンジーに与えなくて済むなど、

多くのメリットがあります。

しかし注射が好きなヒトはいないように、チンパンジーにとっても多少の痛みが伴う注射はハードルが高く、

彼らが「もう嫌だー!」「こんなことしたくないー!」とならにように、

慎重にトレーニングを進める必要があるのです。

上腕部を寄せるコブヘイ.jpg
トレーニングの最初のステップは、注射を打つ上腕部をフェンスに付け、

その体勢を維持してもらうことから始めます。

注射器を当てるコブヘイ.jpg
次に、注射針を付けていない注射器本体を上腕部に押し当てることに慣れてもらいます。

注射器を当てるコウタロウ.jpg
公式X(旧Twitter)では注射器を気にして触っていたコウタロウもすっかり慣れ、

上腕部に注射器を押し当ててもジッとしてくれるようになりました。

注射器を当てるミラクル.jpg
最近はコブヘイ・コウタロウに加えて、ミラクルもこの動作が出来るようになりました。

ちなみに、ミラクルには特別注射トレーニングは行っておらず、

彼女がコブヘイ・コウタロウのトレーニングを近くで見て、自ら学習したものです。

実はこれまでミラクルが習得した動作の中では、この「観察学習」がとても多いのです。

遊び好きなオスのコブヘイ・コウタロウは担当者との遊びの延長で様々な動作を習得し、

一方オス達ほど遊び好きではないものの、頭が良く普段から周りの状況を見ているメスのミラクルは

「観察学習」による動作習得が多い点に、大変興味深さを感じています。

これからは3頭ともいよいよ、実際に注射針を付けてのトレーニングに移行したいと思います。

動物園のチンパンジーはライオンやクマと同様、猛獣扱いとなり、間接飼育が基本のため、

彼らが病気になっても一緒に檻の中に入ったり捕まえたりして治療を行う事が出来ません。

ピーコさんとの別れを経験し、改めてハズバンダリートレーニング(健康管理のためのトレーニング)の

重要性を感じました。

これからもチンパンジー達が、少しでも心身ともに健康な暮らしが送れるように、

取り組んで行きたいと思います。

(チンパンジー係4年生 伊原)