
更新日:2025.03.20モルよりつくられし石の話①
モルよりつくられし石の話①
尿石症という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
その名の通り、尿中の成分が石となり、膀胱炎や尿路閉塞を引き起こすことをいいます。
つまりは、尿路で石が悪さをすることです。
ヒトで有名なのは、尿道結石あたりでしょうか。
では動物ではあるのかというと、もちろん尿石症は存在します。
本日は、モルモットの尿石症についてご紹介します。
尿結石は、腎盂、尿管、膀胱、尿道などの尿路系で認められる結石のことをいいますが、モルモットではまれにメスでは膣、オスでは精嚢腺内といった場所にも結石がみられることがあります。遺伝やカルシウム過多の食餌、飲水量の不足、細菌感染などが原因で発生するといわれています。
レントゲンでも映ることがあり、こちらの赤矢印で示した、白く丸いものが尿石です。(向かって右にある白く細長いものはマイクロチップです。)
モルモットでは、尿石ができても自然に排泄されることがわりと多いのですが、注意すべきなのは、石によっておしっこが出せなくなる、もしくはおしっこをするたびに痛みを伴い、食欲が低下することなどです。
今回の患者さんはメスのモルモット、うきわちゃんです。
特に症状はありませんでしたが、触診によって尿石が陰部にあることが確認できました。飼育担当者は、一頭一頭のモルモットの異変にすぐに気付き、わたしたち獣医に伝えてくれます。
腎臓にできてしまった場合には、残念ながら摘出処置を行うのは厳しいのですが、今回の尿石は尿道開口部付近にあったため摘出することにしました。
そのまま摘出するには大きく、さらに処置中に動くと尿道を傷つけてしまうこともあるため、麻酔をかけてから行います。
モルモットの麻酔用にと、先輩お手製であるジャストサイズのタッパーに入ってもらい、ガスの麻酔で眠ってもらいます。個人的にタッパー詰めモルが大好きです。
はたしてうきわちゃんの尿石は無事にとれるのか?!
次回に続きます。
飼育展示係 真砂