野毛山動物園公式サイト

twitter facebook youtube
大事な時期の写真

更新日:2021.09.27大事な時期

更新日:2021.09.27

大事な時期

みなさま、こんにちは!

オグロワラビーの展示を中止して1か月以上が経ちました。

(現在、オグロワラビーは外周柵工事により展示を中止しています。)

新しく写真を撮れていないので、案の定ブログの更新頻度が下がってしまっています。

(スミマセン)

何をお伝えしようかと考え、過去のブログを見返していたところ、

バロンが袋(育児嚢)から顔をだしてから初着地(初めて袋から全身を出すのを飼育員が確認した時)までの写真をあまり出していなかったなということに気が付きました。

袋から顔を出すバロン.jpg

この時期はとっても大事な時期なのです。

(そしてとってもかわいい時期でもあります。)

オグロワラビーの赤ちゃんは袋の中で6か月から7か月間ほどを過ごしますが、最初の4か月ほどは袋の中の乳首に吸い付いたまま離れることなくミルクをもらいます。5か月ほど経つと乳首を離すようになります(この時期になると目が開き始めます)。

そして、6か月ほど経つと顔を袋から出し始め、外の世界を見て、聴いて、嗅いで、いろいろなことを学び始めるのです。

仰向けで出袋.jpg

(時にはこんな感じで仰向けのような向きで出てみたり)

顔を出し始めると外の食べ物にも興味を持ち始めます.

まだ食べることはできませんが、葉っぱの匂いを嗅いでみたり、枝をかじってみたり、
葉っぱに興味を示すバロン.jpg枝をかじるバロン.jpg
土の匂いを嗅いでみたり、舐めてみたりもします。

土を舐めるバロン.jpg

この土を舐めたり、食べる行動がとっっっても重要であると言われています。

ワラビーのミルクは成長段階によって栄養成分が変わると言われていますが、土に含まれる細菌類を摂取することにより腸内細菌を整え、成分の変化に対応できるようにしたり、固形物を食べるようになるのに備えていると言われています。

実際にバロンもお母さんの袋から顔を出しているときには土を舐めている様子がよく観察されました。

その後、成長するにつれて、袋の中ではミルクをもらいつつ、外の食べ物も口にするようになります。

お母さんが落とした草を食んでみたり、

お母さんの落とした草を食むバロン.jpg
お母さんが食べている葉っぱをつまみ食いしてみたりといったように徐々に採食の幅が広がっていきます。

葉っぱをつまみ食いするバロン.jpg
動物園では、葉っぱなども給餌していますが、そのほかにペレットや根菜類も与えているので、それらについても徐々に自分の力で食べられるようになってきます。

初めてのさつまいも.jpg

(初めて自らさつまいもを食べている時)

袋を完全に出るようになっても、そこから数か月はまだミルクをもらいつつ成長していきます。個体差はありますが、約10か月で離乳すると言われています。

(以前には甘えていたのかずいぶん大きくなっても袋に顔を突っ込みミルクをもらっているような個体も居ましたが、、)

バロンの場合は、着地して約4か月後くらいにお母さんのアスタがバロンを突き放すような行動を見せたため、そこからが離乳と考えられ、ちょうど生後10か月ほどであるのでおおよそ正しいようです。

さあ、いかがでしたでしょうか?

袋から顔を出しているときにはかわいいだけでなく、成長過程に大事なイベントが起こる時期でもあるのです。

袋から顔を出すバロン②.jpg

頭の片隅にこのお話を置いてもらえると、どこかでお母さんの袋から顔を出しているワラビーやカンガルーの赤ちゃんを見ることがあった時に、いろいろな視点から動物たちを観察できて楽しいかもしれません。



さあ、次のネタを探さねば オグロワラビー担当 木村