自然の恵み
季節の移ろいを感じる今日この頃皆様いかがお過ごしですか?
この時期になると自然の恵みを心待ちにしている一部の飼育係がいたりします。
なにを心待ちにしているのかというと、落ち葉です。
床材を購入している動物もいますが、お金がかかります。しかし落ち葉なら無料です。
というわけで、自然の恵みをヨウスコウワニの展示場に投入します。
投入前。
投入後。
投入直後からオスは様子を見に陸上にあがっています。
小一時間別の作業をして戻ってくると、手前のオスは更に近づいていますが、
奥のメスは落ち葉にダイブしています。
早速落ち葉を堪能してくれたようです。
しかし、無料の落ち葉にも問題点があります。それは、ゴミが混入していることです。
ゴミが入ったまま動物に使用すると怪我をしたり誤食したりして命に危険が及びます。
なので、投入前は可能な限りゴミを取り除いてから使用します。
さも、自分で落ち葉を集め分別しているかのように書きましたが、
落ち葉を集めてくれているのは基本的に園内清掃の方々になります。
僕は飼育係になって十年ちょっとしか経っていませんが飼育係以上に難しい生物には出会ったことがありません。
それだけ、みんな飼育へのこだわりがあるのでしようね。
そんな、難しい飼育係の注文にも園内清掃の方々は丁寧に応えてくれています。
僕はなるべく負担にならないようにと思いつつも、落ち葉以外のゴミは混ぜないでくださいと、
難しい注文をして清掃の方々に落ち葉集めをお願いしています(いつもありがとうございます)。
園内清掃の方々は本来の仕事ではないにも関わらず
丁寧に落ち葉とゴミを分けてくださっていますが、それでもゴミは混ざります。
決して園内清掃の方々が悪いわけではなく、
きっとそれだけ公園内にゴミが落ちているということなんでしょうね。
故意的に捨てていなくても気づいたらポケットから落ちていたりもすることでしょう。
僕の手元に落ち葉が届く頃にはゴミはほとんど混ざっていませんが、
清掃の方々が落ち葉を集めている時、野毛山公園の敷地外では
どれだけのゴミが落ちているのでしょうか。
飼育している動物たちは難しい飼育係がこだわりをもって飼育管理していますが、
野生の動物たちは誰も管理してくれません。
園に保護される野生動物のうちいくつかは誤食などが原因で保護されている個体もいます。
自然の恵みを感じつつそこに住む動物たちが健康に暮らせる環境がいつまでも残り続けるといいですね。
清掃の方々に感謝をしつつ、今日も難しい飼育係をやっている今日この頃でした。
ヨウスコウワニのメスは尻尾を残し落ち葉の中へ消えていきました。
飼育展示係 大滝