更新日:2016.11.10油汚れに・・・
油汚れに・・・
海の上で船などの事故が起こると、時として積み荷や燃料の油が流れ出てしまうことがあります。近年では2010年のメキシコ湾原油流出事故、日本に影響があったものでは1997年のナホトカ号油流出事故などを覚えている方もいらっしゃるかもしれません。
油で海が汚れてしまうと、そこで獲れる水産物が売り物にならなくなってしまうなど、人間の生活に影響がでてしまうだけでなく、野生動物にも大きな影響があるのです。
鳥の羽毛は通常、水をはじくような構造をしています。ところが、油で汚れてしまうと・・・
油がべったりとはりついて、水が羽にしみ込んでしまうのです!
こうなってしまうと、鳥は飛べなくなったり、水に浮けなくなって溺れてしまったり、体温が下がってしまったりして、遂には死んでしまいます。
このような事故が起こってしまったときの為に、少しでもたくさんの命を助けられるよう、環境省主催の「油等汚染事故対策水鳥救護研修」に参加してきました。
実習ではアイガモ先生の胸をお借りして、油で汚れてしまった鳥の洗い方を勉強します。
「そうそう!頭までしっかり洗ってよね!!」
ところでアイガモ先生、どんなシャンプー使っているんですか??
実は油で汚れてしまった鳥の洗浄には、どこのご家庭にもある食器用洗剤が使われているのです!
食器用洗剤は油を浮かせる作用があり、かつ動物の体にも影響が少ないので、このような場合に鳥の体を洗う洗剤として最適なのです!
しっかり流して、乾かしたら完成です。水をかけているのに背中の羽がふんわりしているのがわかります。羽がキレイになって水をはじいている証拠です。
この研修を通して、油で汚れてしまった鳥の救護の仕方を学ぶことができました。
しかし、もし大規模な油汚染事故が起こってしまったら、油で汚れてしまった水鳥の多くが人に見つかる前に死んでしまったり、手遅れの状態だったりして、救うことができるのは一握りだそうです。
このような事故が起こらないことを、切に願うばかりです。
(飼育展示係 田窪)