更新日:2018.09.24似て非なるもの
更新日:2018.09.24
似て非なるもの
中秋。一年のうちでいちばん月がきれいに見えるという季節です。そしてお月見のお供えで満月のようなまん丸団子とともに供える草花といえばススキと萩ですね。
萩(はぎ) 秋の七草のひとつで、マメ科の落葉低木。秋に赤紫の花を咲かせ、扁平な果実に種子をひとつ含みます。
「その萩なら公園を散策していると園路脇でよく見かけるよ」という方へ。残念ながら俣野公園に咲いているのは日本の萩ではなく、北アメリカ原産の帰化植物でアレチヌスビトハギという別種の植物なのです。花が萩に似て、扁平な豆果の形が忍び足で歩いた盗人の足跡に似ているというのが名前の由来とか。この盗人、かなりの曲者で枝先にたくわえた実を動物や人の衣類にくっつけて拡散させます。花の色合いなど萩によく似ていますが、違いはとがった葉先と豆果の付き方です。
俣野公園に自生するアレチヌスビトハギ。先端にサヤエンドウのような豆果が付いています。
写真のように豆果は横に4~6連つながり、これがひとつひとつ分離します。豆果の表面には細かい毛が密生しているため、衣服などによく付きます。子供たちの間で「ひっつき虫」といわれる所以です。
ひとつひとつの豆果のなかの実が透けて見えます。
公園職員はこの外来種を見つける毎に根から抜去していますが、その作業中、衣服についた豆果を知らぬ間に別の園地に運んでいるのかもしれません。なんとも厄介な萩モドキなのです。