更新日:2018.07.10くつろぎの別邸(3)
くつろぎの別邸(3)
俣野別邸庭園辺りも強風が吹き荒れたり大雨が降ったりという日もありましたが、比較的平穏に夏がやってきた様子です。
事務室の前ではブッドレアが大きく育ちました。花の蜜が美味らしく、ハナバチやチョウ、ハナムグリなどが次々とやってくるのでにぎやかです。
この時季に園内で目立つのは、オレンジ色の花をたくさん付けているクロコスミア(ヒメヒオウギズイセン)です。
▲東海道本線の湘南地域を走る列車が緑とオレンジに塗り分けられていたため、その配色は「湘南色」と呼ばれていました。まさに地元の色。
ギボウシは品種ごとに咲く時期を少しずつずらしながら、しばらく花がある状態です。
キバナコスモスがもう咲き始めています。
俣野別邸の中からは夏の景色が楽しめますが、今回のくつろぎポイントは2階(主屋棟)の部屋です。
▲注目はやはり展望の良い部屋(展示室1)。西北西に飛び出したような形になっていて、富士山は真西に見えます。
ご近所の「旧モーガン邸」(焼損のため現在は毎月1~2回程度の公開)が湘南の海の方を向いた高台の上にあるのに対して、こちらは川とその向こうにある河岸段丘、先に広がる台地と丹沢の山々が見通せる方に向いています。相模湾に面した湘南の邸園は海を意識したものですが、その地域にあって俣野別邸は少し趣が異なっているようです。
▲北寄りの窓からはヒマラヤスギの巨大なまつぼっくり(後にシダーローズになります)を眺めることもできます。
展示室2の書棚の前にも芝庭に向いた窓があり、この窓から見ると庭のちょうど真ん中が見えます。正面に中央のシダレザクラと向こうの大きなケヤキの木が重なります。
同じく展示室2の北側にはイングルヌックがあります。
イングルヌックのソファーの正面は横長の窓になっていて、最近は木々の背が高くなったので山が見えにくくなっていますが、丹沢の山々がやはり絵画のように見えるようになっています。左側に張り出した建物でこの窓からは富士山が見えません。この窓枠の中では富士山をまるで隠しているかのようにも見えます。
▲森の向こうに丹沢の山。今では同じ方向にある大学に高い建物が建ったので目立ちます。
展示室3は書斎のような部屋です。旧俣野別邸の壁材や瓦の展示もありますが、オーナーの書斎気分を味わいながら椅子に座ってみるのもよさそうです。洋風の板の間なのに吾妻障子に天袋という和洋折中にした理由について、その趣を感じながら考えていると思いの外時間が過ぎていきます。デジタルサイネージでは2階の部屋と事務棟、付属屋の解説が表示されます。
隣の展示室4は畳の小上がりがある部屋です。フローリングにカシュー塗りの枠でベッドのようになっているところは畳敷き、カシュー塗りの丸柱が続く上は和風の船底天井です。
この小上がりに腰掛けても、置いてあるイスに座っても結構です。ベランダに続く大窓から広く芝庭を見渡せます。この芝庭の外周で、春はツツジやフジ、初夏にはアジサイやヒマラヤヤマボウシやテッポウユリやシダの新緑、秋から冬にかけてはカキやもみじの紅葉にガマズミやウメモドキの実、サザンカ、ウメ、シダレザクラとあちらこちらの色が変わります。芝庭の景色でぜひ季節の移ろいを感じてください。
くつろぎポイントはまだ続きます。
[桐]