更新日:2017.05.13俣野別邸と春の雨
更新日:2017.05.13
俣野別邸と春の雨
最近は機能的な建築が増えて、玄関先で水滴に当たるような経験も少なくなってきました。
俣野別邸の玄関はロータリーになっていて、ホテルなどの入口に似た構造です。車両が屋根の下に入って、雨に濡れずに車を降りて玄関に入れるようになっています。(現在は通常車両では進入できません)
玄関の上は屋根からそのまま続く大きな庇で、玄関の扉の前には庇(ひさし)に溜まった水滴が落ちてきません。庇の雨水は雨樋に流れて鎖樋(くさりとい)で雨水桝(ます)に落ちていきます。鎖樋を雨水が流れる様子を眺められるのも雨の日ならではのチャンスです。
俣野別邸の屋根や庇には樋のないところも多く、その下には小石を敷きつめた雨水受けが作られています。雨樋の水を受ける桝の部分も小石を敷いた形になっています。最近の建物は雨樋から地下の雨水路に直結しているような構造が多いので、雨水をうまく流す工夫を目にする機会も減りました。
庭園には雨の時に見られる色があります。
水琴窟(すいきんくつ)に続く枯山水も本物の水を得て艶を見せます。
水を弾く葉は水玉を載せたり転がしたりします。
5月の高い陽光に照らされていると光のグラデーションのようですが、やや暗い空の下では新芽の明るい色を改めて見比べることができます。
水滴を載せてみずみずしいジギタリスはいまたくさん咲いています。
林床で明るい黄色のラミウムの花は終わりましたが、雨もよく似合う紫のラミウムがいま咲いています。
ドウダンツツジもまだたくさんの花をつけています。
雨の日の庭園もぜひお楽しみください。[桐]