更新日:2022.05.15【思い出の金沢動物園22】あいまいな記憶
【思い出の金沢動物園22】あいまいな記憶
数年前、8月の夜間開園イベントの片づけをするために、クロサイの向かい側の土手に登った時、ふと、「見たことのある景色だな」と思いました。
実は、小学1年生の写生教室の際に、金沢動物園に来ていたのです。
クロサイの展示場の向かい側の通路の端、段差に座ってクロサイの展示場を描いた記憶が蘇ってきました。
残念ながら、今は植栽がしっかりと育っていて、見覚えのある風景付近の段差には、座ることはできません。
でも、私の記憶にあるのは、クロサイの展示場の雰囲気と... ホッキョクグマ...。
金沢動物園でホッキョクグマは飼育していないはず...。
そもそも、金沢動物園でホッキョクグマを飼育していたなんて聞いたこともありませんし、大型肉食動物を飼育できる造りの動物舎はありません。
過去の飼育記録を調べましたが、金沢動物園でのホッキョクグマの飼育記録はありませんでした。
いろいろ調べてみると、クロサイを飼育する前にシロサイを飼育していたことが分かりました。
シロサイ!!
私がホッキョクグマだと思っていたのは、いわゆるシロクマではなく、シロサイだったのか!?
ところが、金沢動物園でシロサイを飼育していた年代を調べてみると、私が記憶している写生教室で金沢動物園へやって来た小学1年生の時には、金沢動物園にはまだシロサイはおらず、それどことか、そもそもアフリカ区もまだオープンしていませんでした。
私自身、小学1年生の終わりに関西へ引っ越しをしていたので、アフリカ区がオープンした頃にはすでに横浜にはいませんでした。
私が見たのは何だったのでしょう...。
あれから長い年月が立ち、まさか、写生教室で描いたあの展示場の担当を務めるとは思いもよりませんでした。あの頃にはそんな仕事があることさえ知らなかった、飼育員の仕事。
動物の飼育管理とその動物を知るための研究、そして野生で生きる動物を守るために、皆さんにたくさんのことを伝える仕事。
(2016年のクロサイ担当時の写真)
そういえば、別の動物園で事務系の仕事をしていた時、その動物園職員がデザインしたクロサイとオカピのTシャツを買ったことがありました。そしてその数年後には、この金沢動物園でクロサイとオカピの担当になりました。
ふと思い出すと不思議な縁でつながる金沢動物園です。
開園40周年の金沢動物園では、今まで来園してくださった方々からご応募いただいた、たくさんの思い出写真を展示している写真展「写真で紡ぐ、思い出の中の動物園」を開催中。園内のアメリカ休憩所で5月31日まで行っています。
これからも金沢動物園はみなさんの記憶や思い出に残ると思います。私のような不思議な記憶であれ、どんな形であれ、素敵な思い出の一つとなり、また行ってみようと思っていただける動物園でありたいと思っています。