更新日:2015.12.08ポインセチアとクリスマス
ポインセチアとクリスマス
クリスマスが近づくにつれ、街中のお花屋さんはどこもポインセチアの
鉢花があふれるようになりました。
俳句の世界では立派な冬の「季語」になっているほどです。
赤い苞(ほう)は、聖夜の星にもたとえられます。
ポインセチアは、メキシコ中西部の山地に自生するトウダイグサ科の熱帯性常緑低木で、
1828年、米国の初代メキシコ公使ポインセットによって初めて米国に紹介されました。
ポインセチアの名は彼の姓にちなんでいます。
20世紀初頭から改良が進み、自然の開花期が北半球では
クリスマス・シーズンと重なることから商業栽培がさかんで、
今やクリスマスの花として欠かせない存在になっています。
その人気は、苞と葉のコントラストがクリスマス・カラー(赤と緑)
そのものということからもうなずけます。
また、西欧では赤はキリストの血あるいは愛を表わし、
緑は強い生命力を象徴するという宗教的な意味づけもあるようです。
しかし、ポインセチアは放っておくと2年目には赤い苞が現れませんし、
それ以前に冬の寒さで枯れてしまいます。
(我が国では宮崎県以南で戸外の越冬が可能だそうです。)
そのため世間一般では消耗品扱いの運命にあるようです。
ののはな館では、昨年譲り受けた10数株のポインセチアを
「モッタイナイ精神」で再利用してみようということになりました。
ポインセチアの色づく部分は花ではなく、苞(つぼみを包む葉が変化したもの)と呼ばれるもので、
本物の花は茎のてっぺんにちょこんと見える黄色い部分です。
しかも花弁を持たない小さな花の集合体なのです。
苞は花を保護したり、虫をおびき寄せるための、あくまでも花の付属器官であるため、
花芽ができないことには苞は作られません。
てっぺんの芽を傷めるとその枝は赤くなりません。
ポインセチアはアサガオ、キク、皇帝ダリアなどと同じ典型的な短日植物です。
そのため、人工的に花芽をつけさせるには、
9月に入ったら夜の時間(暗い時間)が13時間以上になるように工夫して、
これを40日間ほど継続しなければなりません。
ひとつ、ふたつの鉢ならダンボール箱でふたをしてすみますが、それでも根気が要りますねえ。
たいていのご家庭では途中で挫折してしまうらしいです。
そこで、当館では職員が協力して、一括して台車に載せた鉢を退勤時に倉庫(暗室)にしまい、
朝の出勤時に引き出すという作業を続けました。
赤の他にピンク、白、クリーム、斑入り品種も作られています。
その結果は期待にたがわず、
10月下旬に花芽の形成と苞葉(ほうよう)の発赤を確認することができました。
真ん中の壺みたいのが花芽で、雄蕊(おしべ)が見えてきました。
惜しむらくは、短日処理後半の温度不足です。
十分な暖房設備があれば、もう少し苞葉を大きくできたのに。
でも、まあいいか...それは次の課題にしましょうね!
ということで、よかった、よかった。
達成感まずまずです。
以上、ご報告まで。
ポインセチアはののはな館内で展示しています。
ぜひご覧ください。ご批評をお待ちしています。
どうか、楽しいクリスマスを!
(担当:マグノリア)