更新日:2020.06.27ナキのひとり立ち?
ナキのひとり立ち?
アラビアオリックスのナキ(メス)、1歳です。いつもリズ母さんと一緒ですが、最近ひとり立ちの練習をしています。
一緒に過ごした後、夕方の数分間、夕食を目の前にしながら、お母さんと離れる練習です。
どうして親離れをするのか?
野生のアラビアオリックスは群れで暮らしますが、動物園では健康管理の都合上、1頭ずつになってほしい時もあるのです。
例えば、
薬をあげたいとき。
オリックスは比較的臆病なため、手から直接薬をあげるのはなかなか難しいので、餌に混ぜて置いておき、それを食べてもらうようにして与えます。2頭一緒にいるとどちらが食べたのか、わからなくなってしまいますし、親子で体重が違うので、薬の量も違います。
餌を2カ所に置いても、同じところから一緒に食べてしまいます。
例えば、万が一、治療をしなければならないほど大きな怪我をしたとき、普段分かれたことがないと、お互いが見えなくなっただけでパニックになってしまいます。
これは別のメスの写真ですが、治療をするために、吹き矢で麻酔薬を後ろ脚に投与しています。
別のオリックスが一緒にいて、間違って投与してしまったり、麻酔が効いてから治療のために部屋の中に入ろうにも、別のオリックスがいて近づけないなどでは、困ってしまいます。
例えば、検査のための採材をしたいとき。
寄生虫がいないか、異常がないか、採糞等をして検査することもありますが、成長してきたナキとリズはそろそろ糞は大きさでの見分けがつかなくなってきました...。
糞を間違えて採材してしまったら、正確な結果が得られません。
などなど、動物園で1頭1頭をそれぞれ管理しながら飼育するためには、分けることができるようにしておくと、様々なメリットがあるのです。
最初は数秒もリズ母さんと離れていられなかったナキですが、
徐々に、徐々に練習を重ね1時間半くらいは別れていられるようになってきました。
あちら側をのぞいたり、
リズ母さんを探して走り回ったりしながらも、
ふと、落ち着いたりもできるようになってきました。
日中過ごすときも、少しずつ、お母さんと少し距離をとっているときも増えてきました。
ひとり立ちまであとちょっと。少しずつ、少しずつ、慣れていこうね。
(オリックス担当 正木)