更新日:2016.11.01ひっつきむし・くっつきむし
ひっつきむし・くっつきむし
「ひっつきむし・くっつきむし」といっても、虫のお話ではありません。
植物が子孫を広範囲に広げるために、種子や果実の表面をとげとげやフック状等にすることで、動物の毛や人間の衣服に付きやすくして、運んでもらうものです。
皆さんも今頃の野原でズボンのすそなどにびっしり種子が付いて、取り除くのが大変だったという経験があるかと思いますが、それは、まんまと植物の戦略に引っかかってしまったわけです。
花が少ないこの時期、ののはな館周辺の「くっつきむし」を紹介します。
①オオオナモミ (キク科)
くっつきむしの代表格で、子供の頃、この種子を投げ合い遊んだ経験をお持ちの方が多いのではないでしょうか?
北アメリカ原産の帰化植物です。
②オジギソウ (マメ科)
葉の接触運動や睡眠運動の速度が速いので有名ですが、あまり種子を見たことがない方が多いと思います。
実はこの種子のさやに、トゲ状のかたい毛が生えています。
草取りなどしていると、これが結構衣類などにくっつきます。
現物を見たい方は、ののはな館の玄関先に鉢植えされていますので、ぜひご覧ください。
③ヒカゲイノコヅチ (ヒユ科)
名前の由来は日陰に生え、茶褐色のふくれた節をイノシシのかかと(膝のように見える部分)にたとえたものと言われています。
これも皆さん経験があると思いますが、山野を歩いた時にズボンのすそなどに、筋状にこの種子がくっついていることがあります。
私はこのくっついた形状が、イノシシの子どもが列をなして歩く姿に見えるから、この名前が付いたのではないかと思っていました。
④アメリカセンダングサ (キク科)
名前の由来は、葉の形状がセンダンの葉に似ているからです。
北アメリカ原産の帰化植物で、湿り気のある荒れ地や道端にふつうに見られる雑草です。
花が終わり秋になると、扁平で幅が広く、先端にのこぎりの歯のようなぎざぎざのついた2本の角がある種子を、針山のように展開させ、衣類などにくっつきます。
⑤メナモミ (キク科)
センダングサに似ていますが、花の周りの花床の鱗片には腺毛(せんもう)が密生して粘り、種子と一緒に動物などにくっついて運ばれます。
⑥チヂミザサ (イネ科)
名前の由来は葉が笹に似ており、周辺が縮れていることからです。
秋も深まって今頃の時期になると、種子の先の不ぞろいの毛に粘液を出し、動物などにくっついて運ばれます。
by 花咲じじい