更新日:2021.11.18【思い出の金沢動物園4】インドサイの手術
【思い出の金沢動物園4】インドサイの手術
1993年4月1日私は非常勤の獣医師として金沢動物園に初出勤しました。直前まで某水族館に獣医師兼飼育員として勤務していた私は、前日に担当だったラッコやイルカ、アザラシたちに最後の餌をあげてお別れをしてきたところでした。
初日ですからスーツを着て出勤しました。ところが、出勤したとたん、「今日はインドサイの手術があるからすぐ着替えて!」と言われたのです。作業服は渡されましたが、スーツ姿で作業服の下に着るようなTシャツもなく、ストッキングだったので靴下さえもないまま作業服に着替え、先輩男性職員の靴下を借りてわけもわからないままインドサイ舎へ向かいました。
訳もわからず麻酔が効いてきたインドサイを見つめているところ
インドサイ舎の前につくとたくさんの飼育員の方々がいて、麻酔が効くまでは外で待っているように言われ、外で待っていた記憶があります。天気の良い日でした。私が覚えているのはここまでで、そこから先はほとんど記憶がありません。ただ心の中でずっと「昨日はラッコに餌をあげていたなあ」と思っていたことだけ覚えています。
麻酔が完全に効いて伏臥姿勢になったサワコ
この時にいたインドサイは今も元気な雄のキンタロウと雌のサワコでした。そして、直腸脱で手術が必要だったのは雌のサワコで、キンタロウは展示場に出ていたのですが、手術を始めて、ちょっと多めの出血があったときに、キンタロウがすごい勢いで寝室に体当たりしてきたことだけは覚えています。サワコを助けようとしていたのだと思います。
仲の良かったキンタロウとサワコ
サワコは残念ながら1995年1月4日に12歳の若さで亡くなりました。その後いったん金沢動物園を去った私が25年ぶりに戻ってきたら、キンタロウが元気に現役で迎えてくれました。これからもよろしくねキンタロウ。
動物病院 植田