更新日:2022.06.21担当者にやさしくカンガルーに厳しい、アミーゴ
更新日:2022.06.21
担当者にやさしくカンガルーに厳しい、アミーゴ
個体識別おさらい編、今回はアミーゴ(メス)です。右手前にいるのが、アミーゴの母カエデ、左奥がアミーゴです。この写真だけでも、目~鼻にかけてのラインが親子そっくりなのが分かりますね。
まずは、前髪から。
きれいな弧を描いており、ラインの先端は目にかかっていません。くっきり前髪ラインが見えるときもあれば、ぼやけている時もあります。
そして、アミーゴの分かりやすい見分けポイントといえば、ちょっと隙間のあいた上唇かもしれません。
アミーゴは、先天的な口唇裂でした。当時の日誌を見返してみると、アミーゴが母カエデの育児嚢から顔を出したところを目撃した日、すでに左の上唇が開いている状態でした。怪我をした形跡が見られないことから、先天的に口唇が奇形であったと、当時の獣医と担当で結論付けたようです。
このままでも日常生活には支障はありませんが、転んだときなどに歯肉を傷つけやすいことが懸念されていました。その後私が担当となり、ある程度体が大きくなった頃に、麻酔をかけて、口唇を鼻下にくっつける手術をしました。
ちなみに、通常のカンガルーの口はこのように中央がパカっと開いたり閉じたりします。
若干隙間はありますが、縫合箇所はきれいにくっつき、現在は歯肉の怪我の心配をしなくて済んでいます。
アミーゴは穏やかな母カエデの影響か、とても人懐っこく展示場に入るとすぐに寄ってきます。なかなか引きの写真が撮れません。その反面、仲間のカンガルーには厳しく、攻撃的になることもしばしば。穏やかに平和に過ごしてもらいたいと、切に願っています。
(しばた)