更新日:2023.07.08つぼみの解体 ヤマユリガイド
つぼみの解体 ヤマユリガイド
先日、身近ないきもの館で、ヤマユリガイドを行いました。6月2日の台風2号で倒れてしまった株を利用して、つぼみを解体して中を観察しました。こんな贅沢なことはなかなかできないので、ブログ上でもご紹介します。
ヤマユリには大きな特徴がいくつかあります。例えば、葉脈が平行に走る平行脈、花の部分(めしべ、おしべ、花びら等)が3の倍数でできている(三数性)などです。本当かどうか、観察して確かめてみましょう!
まずは平行脈から。
葉脈は、葉の裏側を見るとわかりやすいです。隣の葉脈同士が手をつなぐことなく、横方向に走る葉脈だけで、縦方向の葉脈はありません。
参考にアジサイの葉脈を見てみます。葉脈の間をつなぐようにたくさんの葉脈が走っています。ヤマユリは、確かに平行脈でした。
では次に、三数性の3を探しましょう!
おしべ 6本 ということは、3×2で、3の倍数です。
花びら 6枚 3×2で、3の倍数です。一番右端の2つは、解体の際に割れてしまったもので、1つの花びらです。
ヤマユリは、外側に3枚、内側に3枚の花びら(花被片と言います)が重なっています。そのため、外花被片が3枚、内花被片が3枚となります。
外花被片の先端は、かぎ状に折れていて、3つの外花被片が互いに手を組みあうようにしっかりと絡み合ってつぼみを閉じていました。
次は、めしべの先端、いわゆる柱頭と呼ばれる部分を見てみましょう。
写真は柱頭を正面から見たものです。うっすらと、Y字のように線が入っているのがわかりますか?3つの塊が合わさっているように見えますね。
ほかにもあります。子房です。
子房はめしべの下のほうにあり、受粉後、ここに種子ができてふくらみます。よく見ると、すじが入っています。
これが子房の断面です。大きく3つの凹凸になっているのが見えるでしょうか。さらにそれぞれの真ん中が凹んで6つの凹凸にも見えます。また、種子の元である胚珠が6つ見えます。ここにも3が隠れていました。
これらの特徴は、単子葉植物であるユリやラン、イネ科の植物に共通します。台風のおかげで実物を使ってしっかり観察することが出来ました。
おまけ
せっかくなので、おしべの先の花粉が入っているところ(葯(やく)と言います)をのぞいてみました。
オレンジ色の花粉がたくさん詰まっていました。何かに似ていませんか?魚卵のカラスミみたいだなあ、と思いましたが、いかがでしょうか?子孫を残す部分の見た目が、魚と植物で似ているなんて面白いなあ、と思いました。
伊藤