更新日:2023.11.22植物標本を作る
植物標本を作る
金沢自然公園には、「しだの谷」という場所があるのをご存知でしょうか。ののはなカフェやののはな館の裏手、高速道路との間にあります。しだの谷は、その名の通り、少し薄暗い「谷」を下りていくと、あちらこちらに「シダ」が茂っています。
東京農業大学名誉教授の中村幸人先生による植物調査の際に、同定のためシダ類も標本を採取しました。先生は一目見て、「これはアイアスカイノデ」「これはヤマイタチシダ」「これはヤマヤブソテツ」と、次々とサンプルを採取していきます。瞬時に種名をおっしゃる先生の後ろを、メモを取るだけで精一杯の見習い(私)がついて歩きます。しだの谷からおもしろ自然林のエリアで、20種類以上のシダのサンプルを採取することができました。
ののはな館に戻り、一休みしたのも束の間、次は標本作りです。
採取したサンプルを、新聞紙に挟んでいきます。大きいサンプルは、採取した時点で、先生があらかじめ四つ折りの新聞紙に収まるよう折ってくださっていました。それが見事にぴったり収まるから、すごい!またもや見習いは先生の神業に感動します。気分は朝のドラマの植物学教室です。
標本作業をしていると、シダという植物の造形の美しさに気づきました。葉の、羽状の、鋸歯の、ソーラスの、美しいこと、その自然の不思議さ。
植物学者 牧野富太郎の標本には美しさがあるといいます。今回の標本も、シダの美しさを収められていたらいいな。
標本の完成については来月報告します。お楽しみに。
羽状...葉の中央にある茎の部分に、羽のように小さな葉がついている状態
鋸歯...葉の縁にギザギザがあること
ソーラス(胞子嚢群)...成熟したシダの葉の裏に見られるポツポツした部分
※動植物の保全活動を行っています。金沢自然公園の植物を持ち出さない・持ち込まないようご理解・ご協力をお願いいたします。
伊藤