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ホトケドジョウ劇的保全、ビフォーアフターの写真

更新日:2024.02.26ホトケドジョウ劇的保全、ビフォーアフター

更新日:2024.02.26

ホトケドジョウ劇的保全、ビフォーアフター

金沢動物園では神奈川県レッドリストにて"絶滅危惧種"に指定されているホトケドジョウを飼育しています。

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この個体群は金沢動物園のすぐ近くを流れる侍従川水系由来です。下流域ではほぼ姿が見られないのですが、大道中学校敷地内の最上流域には生き残っています。

 

通常では立ち入る事が出来ない場所ですが、長くこの場所とホトケドジョウの保全を行っている市民団体『ふるさと侍従川に親しむ会(以下侍従会)』の活動に協力というかたちで参加してきました。

 

侍従会の皆さんには、動物園で身近な生き物についてのイベント『Zoo to wild Fes autumn』にも参加して頂いたり、職員が個人的に観察&川清掃に参加していたり、つながりがあります。

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グラウンド奥の一番上流は、堆積した土砂などで水深が浅くなり、水が周囲に漏れ、小川の水量が減る原因になっていました。

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その少し下流の開けた所は、要注意外来生物にも指定されているクレソンが繁茂し、水面を覆いつくしていました。これではホトケドジョウはもちろん、ホタルも活動がしにくいのではないでしょうか。

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上流から堆積土と、ヘドロを掘り、水流を復活させていきます。

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湧き水の量も多いので、水路を整備すると、すぐに綺麗な流れが復活しました。

水がきれいで驚きました。ここは横浜市内の住宅街ですよ、凄いですよね。

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泥を掘り上げるのも、クレソンを駆除するのも、大変な労力でした。

普段ゾウやサイの担当をしているので、体力には自信があったのですが、午後にはへとへとです。

その頑張りの成果が...

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なんという事でしょう、外来種の植物に埋め尽くされていた水辺は解放水面を取り戻し、泥上げにより復活した上流部からの綺麗な流水が届き、まるで故郷の美しい小川のようです。

均一ではなく、あえて深さや川幅に変化を持たせる事で多様な環境を作り出していて、匠の技が光ります。

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肝心のホトケドジョウは200匹近く観察出来ました。地域の市民団体が、毎年継続的に活動、保全、観察を行っている努力の結果だと思います。

金沢動物園は同水系のホトケドジョウを域外保全として分散飼育し、飼育下で観察、繁殖を行い、蓄積したデータを域内保全にフィードバックしていきたいと思います。

動物園と市民団体が保全を通じて協力しあい、生物多様性にあふれる環境が作れる、これって素晴らしくないですか?

 

来年の活動のために、筋力、持久力UPを目指し、トレーニングでもするか!!

 

ホトケドジョウ飼育担当:安藤