更新日:2016.07.12夏の風物詩
夏の風物詩
横浜の動物園では夏や春に実習生を受け入れています。
なので職員にとって、実習生は夏や春の到来を告げる風物詩となっています。
今年も例年通り、獣医学部の学生が獣医実習を開始しました。
獣医学部の授業では犬や猫などの伴侶動物、牛などの生産動物については学ぶ機会はありますが、動物園で飼育しているような野生動物の生態や治療について学ぶ機会はほとんどありません。
ですので、動物園の何気無い治療の一コマも実習生にとっては新鮮な場面に映るようです。
まずは、治療。
保護された仔タヌキに注射を打っています。
麻酔をかけずに野生動物に治療を行うには、保定といって動物をしっかりと押さえる技術が重要です。
この際に動物を押さえることに夢中になって動物に怪我をさせたり、また、押さえきれずに動物に噛まれてしまったりする場合があるので、ちょうど良い状態を保つことは一つの技術といえるのです。
次は検査。
動物病院内では血液検査などにおいて基本的な検査項目の測定を行ったり、糞便中の寄生虫を見つける検査などを行ったりしています。
その際には顕微鏡を覗き寄生虫の卵を見つけるのですが、動物種によって見つかる寄生虫も変わってくるので、慣れるまでは一苦労なようです。
最後に解剖。
動物園で飼育している動物も、いつかは死んでしまいます。
死んでしまった場合には何故死んでしまったのかという原因を突き止めるために、解剖を行い死因の究明を行います。
今回は傷病鳥獣として保護されてきたスズメを解剖しましたが、学校で扱う動物とサイズ感がだいぶ異なるようで、こちらも慣れるまでに時間がかかりそうです。
実習の期間は2週間と短いですが、普段の学生生活では体験できないような様々な治療や検査などを通じて、動物園における野生動物とのかかわり方について考える機会になってもらえればと思っています。
(先輩獣医)