更新日:2016.07.12ムクゲ
ムクゲ
ムクゲはアオイ科フヨウ属の落葉樹木で、夏から秋にかけて次々と花を咲かせます。
サルスベリやキョウチクトウとともに、比較的花の少ない夏を彩る代表的な花木です。
もともと、中国、インドあたりから小アジア地方にかけて自生していたと言われていますが、実際には原産地がどこかはよくわかっていません。
中国では古くから観賞用の庭木として愛でられてきました。我が国には平安時代頃に渡来したようです。
呼び名(和名)は漢名「木槿(むくげ)」の音読みに由来します。
花色は白、淡紫、赤紫、ピンク、うすピンク、紅と様々で、また八重花もあり、今では多数の園芸品種が作られています。
いずれも優しい雰囲気があっていいですね。
漢方ではこの白花品の花のつぼみを乾燥して整腸剤としました。また、樹皮、根皮も同様に漢方薬(特に水虫薬!)となります。
白の一重花に中心が赤い、いわゆる底紅種(そこべにしゅ)は茶人千利休の孫の千宗旦が好んだことから「宗旦木槿」と呼ばれ、夏の茶花として欠かせません。
ムクゲは大きな5枚の花びらの中に長い雌しべの軸があり、軸の途中からたくさんの雄しべが出ていて、これはフヨウ属すべてが持つ特徴です。
植物繊維を代表するワタ、古くからアフリカ北東部で栽培されてきた食用のオクラ、観賞用として植えられるフヨウ、タチアオイ、
それからトロピカルムード満点のハイビスカスまで、これらはいずれもアオイ科の植物です。
ところで、ムクゲはお隣の韓国では無窮花・ムグンファといって、「終わりのない花」=国の繁栄をイメージさせることから国花になっています。
かたや、我が国では、「槿花一日の栄」とか「槿花一朝の夢」などの言い回しに見られるように、一日花のムクゲに人の世のはかなさを重ね合わせる傾向があるようです。同じ花を見るにつけ、国によって受けるイメージが正反対になるなんておもしろいですね。
ついでながら、ムクゲの花は「一日花のことが多い」というほうがあたっていて、よく観察してみると、その時々の気温や日照によっては何日か持続することがあります。
梅雨の晴れ間に自然公園の散策などいかがですか。ぜひお越しください。お待ちしています。
(担当:マグノリア)