更新日:2016.07.26身近なムシのくらし
身近なムシのくらし
夏になって、園内でも様々な虫がみられるようになりました。
森の中だけでなく、身近な建物の周りでも虫たちの変わった生態を観察することができます。
インドサイの寝室にはたくさんのルリジガバチがすんでいます。
ルリジガバチは瑠璃色のハチで、クモを専門的に狩り、幼虫のエサにするハチです。
クモを捕まえると毒針で刺して動けなくして巣に持ち帰り、巣の中にクモを詰め込んで卵を産み付け、幼虫のための保存食にします。
ハチの毒でクモは動けなくなりますが、死んではいません。
死ぬと腐ってしまうので、生きたまま保存食にしているのです。
ルリジガバチは建物の隙間や竹筒などに巣を作ります。
巣材には泥が使われますが、白い巣の蓋だけは別の素材で作られています。
何で作られているかというと・・・
これ。鳥の糞の白いところで作られています。変わった習性です。
興味深い習性を持つルリジガバチですが、なぜインドサイの寝室に沢山いるのでしょうか。
インドサイの寝室にはフットケアの為に大量のワラを敷いてあり、ワラは他の生き物にとってもすみかやエサになります。
ワラの中にはアリやワラジムシ、ハエやガの仲間などが住んでいて、それらの虫を食べにクモなどの虫も集まってきます。
つまり、エサになるクモの多いインドサイの寝室は、ルリジガバチにとって最高の狩り場なのです。
エサだけでなく巣を作るのに適した隙間も多くあり、やや迷惑ですが、通気口の中がお気に入りのようです。
インドサイ寝室にはもう1種、青色のセイボウというハチがいます。
セイボウとは漢字で「青蜂」と書き、青いハチというそのままの名前です。
英語ではjewel wasps (宝石蜂)または、cuckoo wasps(カッコウ蜂)と呼ばれるようです。
宝石蜂と呼ばれるのは納得ですが、なぜカッコウ蜂と呼ばれるのでしょうか。
カッコウが他の鳥の巣に卵を産んでヒナを育てさせるように、セイボウはルリジガバチの巣に卵を産み付けます。
その生態が名前の由来になっているようです。
動物舎の片隅ではクモが大事そうに卵を守っていました。
食うか食われるか、または寄生されるか、生き物の壮絶なドラマが繰り広げられているのでした。
(先崎)