更新日:2016.12.08隴を得て蜀を望む
隴を得て蜀を望む
隴(ロウ)を得て蜀(ショク)を望む(十八史略)
一つの望みをかなえた後、すぐに次の望みが起こること。漢の光武帝・劉秀が、隴西を攻略した直後に蜀を攻略する軍を挙げた時に、人の望みが限りないことを自ら嘆いた言葉。三国志の時代でも、曹操が司馬懿に語った言葉として晋書にみられ、こちらの方をご存知の方もいるかもしれません。原典の後漢書では「隴を平らげ」となっています。
あれ、開くページ間違えたかな?と思われた方、ご心配なく。よこはま動物園の飼育日誌ブログです。
なんで中国故事成語入門になってんねん?と突っ込まれた方、今少しおつきあいください。
先のプレスリリースにもあった通り、12月6日に、ゴールデンターキンの「ロウ(オス、1歳)」が和歌山県のアドベンチャーワールドから来園しました。ゴールデンターキンは、広い中国の中でも秦嶺山脈にしか生息していない非常に希少な動物で、日本でもズーラシアを含む3園でしか飼育されていません。このような希少な動物を今後も守っていくため、生息域外保全という形で、動物園同士協力し合いながら飼育繁殖を続けていかなければなりません。今回「ロウ」がズーラシアに来たのも、当園生まれの「ヒナタ(メス、4歳)」との間で、繁殖を目指すためです。
12月6日の夕方、和歌山県から遥々、動物輸送会社さんが明るいうちに連れてきてくれました。
まずは、輸送箱ごと体重を測ります。295.6kg!(ちなみに輸送箱だけで180kgありました。)
そして、力を合わせて、300kgを獣舎内まで運びます。構造上機械が入れないため、ここは人海戦術です。
そして、寝室にくっつけて、すぐに扉を閉められるよう調整します。万が一にも逆走しないようにベニヤ板で壁を作って、輸送箱OPEN!
知らない環境に戸惑って、出るまで時間がかかるかと思いましたが、意外にも10秒ほどで出て行ってくれました。
かなり緊張しているようですが、パニックになって暴れるようなことはなく、比較的落ち着いています。
隣の部屋に帰ってきたヒナタとも、互いに興味津々のようです。
2時間ほどすると緊張もほぐれてきたのか、だんだんと餌も食べ始めました。
このように、無事入園した「ロウ」ですが、まずはズーラシアの環境に慣れてもらわないといけないため、いつから展示できるかは未定です。ご了承ください。
さて、念願のお婿さん「ロウ」を得た我々ですが、ここで曹操軍のように撤収するわけにはいきません。後漢(国名)の呉漢(人名)が蜀の公孫述を一気に攻略したように、ズーラシアでもこのまま繁殖を目指していきます。「足るを知らずして苦し」んでいる暇はありません。まだ大人になる前のロウですが、しっかりと繁殖のできる立派な成獣に育てていく必要があります。それが、当園に来てくれた「ロウ」を飼育している、我々の使命なのです。
ロウを得て繁殖を望む。それが言いたかっただけかいな~
飼育展示係 太田