更新日:2021.09.25群れの移行
群れの移行
長年群れの第一位だったダイチャンが死亡してから数ヵ月、群れは初めての第一位の交代を迎えました。
そして先日新しい第一位をご紹介しました(そのブログはこちら)。
今回はどうして新しい第一位が分かったか紹介します。
新しい第一位の見わけの方法は、、、
「 消去法 」 です。(※真面目な方法は最後の方に。消去法も大真面目ですが!)
ニホンザルの第一位はオスに限りません。
高崎山自然動物園では先日メスが第一位になり、話題になっていました。
子どもが第一位になることもあるようです。
それでも「第一位はニーヤン以外ない」というのが担当者の本音でした。
順位や体格、気の強さでニーヤンに勝てる個体がいません。
というのも、
・今いる子ザルの母親は順位が低いため、子ザルは除外
・ニーヤン以外のオスは、順位が低いので除外
・順位の高いメス(ニイニイ)は気は強いが、小柄で、ニーヤンに勝てないため除外
(ニイニイ。右手の先が白いのが特徴、子煩悩で怒るととても怖い)
ニイニイの子供は3頭いますが、2頭(シンジ、オリヒメ)は群れから離れて暮らしており、1頭(ラン)は2020年に死亡しています。
もしかすると下克上を起こす個体がいるかもと思い、ハラハラしながら見守りました。
ダイチャンが死亡した日の夜間に激しい闘争はありませんでしたが、翌日、オスたちは朝からアピールを始めました。
順位の低いメスを追い回したり、餌を占領して他の個体を寄せ付けなかったり。
ダイチャンが人柄で第一位になっていただけに、力でのし上がろうとしている第一位候補たちのいる群れは今までと違う群れに見えました。
昼には決着がつき、大きなけがもなくニーヤンに決まりました。
順位の低いオスがニーヤンを毛繕いする姿も見られました。
(中央:寝転がるニーヤン、左右:毛繕いする2頭、どちらも順位の低いオス)
決着はついても、順位の高いメス2頭(ニイニイ、イッチャン)はニーヤンをすんなりとは認めません。
15時頃にはニーヤンがイッチャンを水場に落とし、噛みつくなど攻撃が激しくなりました。
(右:水に落とされ、ずぶ濡れのイッチャン 左:自身も落ち下半身が濡れているニーヤン)
攻撃をきっかけにニーヤンを認めたのか、夕方にはニーヤンについてまわるようになりました。
(ニーヤンを認めた日の夜、左:イッチャン 右:ニーヤン)
(ニーヤンを認めた2日後、奥:イッチャン 手前:ニーヤン)
ニーヤンがイッチャンにマウントをする姿も見られ、その様子を他の群れメンバーは遠巻きに眺めていました。
(○枠上:イッチャン、○枠下:ニーヤン、ニーヤンの近くはがら空き)
一方、ニイニイは今でもニーヤンから距離をおいています。
また、ニーヤンとイッチャンの水場での攻防は今でも毎日2、3回起きています。
イッチャンが挑発してニーヤンを怒らせたり、ニーヤンが急に突き落したりすることもありますが、ニーヤンは深追いせずにイッチャンから離れ、イッチャンも唸りつつニーヤンの後を追います。
最近はイッチャンをおいてニーヤンが1頭でいる姿も見られるようになりました。
さて、真面目な第一位の見分け方ですが、
・尾を上げている
・餌を独占する
・他個体との距離感
などでも判断できます。
(左:尾を上げ体格のいいニーヤン 右:小柄でニーヤンを避けるニイニイ)
尾を上げている様子は、他の動物園に行った時にも参考になります。
体格がよく、尾を上げていて、堂々としていれば第一位個体の可能性が高いと思います。
そろそろニホンザルは繁殖期を迎えます。
来年の3月頃までは闘争が増え、群れが騒がしいことも増えそうです。
暖かく見守って頂けたら嬉しいです。
ニホンザル担当者