更新日:2024.05.15愛鳥週間!オオワシの暮らす環境のこと
愛鳥週間!オオワシの暮らす環境のこと
前回のブログで、オオワシ・ウミネコ・キアシセグロカモメの3種をご紹介しました。
(前回のブログ:愛鳥週間!ズーラシアのオオワシとカモメたち)
今回は、3種の暮らしている野生の環境のこと、そして直面している問題についてお話します。
★オオワシ
主にカムチャッカ半島やロシア極東で繁殖をし、冬になると北海道を中心に日本にも渡ってくる鳥です。
こんなに大きな野生のオオワシを、日本でも見ることができるのです!
北海道は特に多くのオオワシが渡ってくるので、冬に北海道へ行けば確実に見ることができます。野生のオオワシを見るために、様々な国からバードウォッチャーが北海道へとやってくるのです。
〈北海道で撮影した野生のオオワシ〉
そんなオオワシですが、様々な問題に直面しています。
・交通事故
北海道にはエゾシカがたくさん生息していて、車や列車の走る道路、線路に飛び出してくることも多いです。そうしてひかれて死んでしまったエゾシカの肉を食べるために、オオワシやオジロワシが集まり、後続の車や列車にひかれてしまうという事故が多発しています。
〈オオワシのほか、北海道にはオジロワシも生息しています〉
・鉛中毒
鉛による中毒死も多発しています。北海道ではエゾシカ猟が盛んに行われていますが、こうした猟には鉛ライフル弾が使われることもあります。射止められたシカをその場で解体し、鉛弾の残った鹿肉がそのまま放置されることも多々あります。そうした鹿肉をオオワシやオジロワシが鉛弾ごと食べてしまい、鉛中毒死を引き起こす例が後を絶ちません。
〈北海道には、エゾシカがたくさん生息しています〉
・風車衝突事故
北海道には風力発電所が多くあり、風車もたくさんあります。オオワシやオジロワシが飛翔中にこの風車のブレードに衝突して、息絶えてしまうこともあります。風車への衝突は凄まじく、時に翼がすっぱり切れてしまうこともあるのです。
交通事故による希少種の死亡例は、オオワシに限りません。北海道ではタンチョウやシマフクロウも交通事故にあうことがあります。当園でも飼育しているツシマヤマネコや、沖縄に生息するヤンバルクイナ、ケナガネズミなども交通事故による事故死例が多くあります。
〈道路沿いに出てくるヤンバルクイナ。この後、道路を横切っていきました〉
こうした場所に出かける際は、そこに生息する生き物たちのことを忘れず、スピードを守って運転してくださいね。
長くなってしまうので、カモメ類はまた次回、お伝えしたいと思います!
飼育展示係 田中