更新日:2023.08.09カンガルーブログ 4年ぶり
カンガルーブログ 4年ぶり
タイトルの通り、4年ぶりにカンガルーの繁殖を再開しました。
これまでの経緯をちょっとご説明します。
ウォークスルーの展示場に改修したのは、2016年。金沢では今までにない展示方式だったため、カンガルーたちが展示場に慣れてもらうには、相応の時間がかかりました。そんな中、環境に慣れるのが早いのは、やはりウォークスルーで生まれ育った子供たち。
2016年からは展示場に慣れた個体を増やすため、積極的に繁殖を進めていきました。そして2019年に展示個体の半数がウォークスルーの環境で育った個体になったため、一旦新たな繁殖を停止しました。展示場は広いのですが、夜間過ごす寝室の広さは限りがあるため、飼育頭数が増えすぎると、カンガルーたちが快適に過ごせる環境を整えられなくなってしまうのです。その後、残念ながら亡くなってしまったり、他園へ引っ越したりと色々あり、ある程度頭数が落ち着き次世代を迎える準備が整った昨年、約4年ぶりの繁殖にむけたペアリングを再開したわけです。
思いのほかペアリングに難航しやきもきした時期もありましたが、幸いにも今秋新たなカンガルーたちをお目見えすることが出来そうです。
▲24日齢のカンガルー
以前ブログで『育児嚢の様子を確認する訓練』をしているとお伝えしましたが、その成果として今回は小さなうちからの成長記録を動画で撮ることができたので、いずれどこかでご報告いたします。
▲90日齢
▲94日齢
▲140日齢
▲197日齢
皆さんご存じの通り有袋類のこどもは非常に小さな状態で生まれ、生まれるとすぐに母親の育児嚢(腹部にある子育てのための袋)に入ります。誕生の瞬間を目撃することが難しいため、金沢動物園のカンガルーは『(飼育担当者が)はじめて育児嚢から外に出た姿を目撃した日(=着地日)』が誕生日となります(※飼育園によってルールは様々で、『育児嚢から顔を出した日』といった場合もあります)。そのため、このブログを作っている最中もまだ着地していないので、実は写真のカンガルーは書類上はまだ生まれていないことになっているのです。今月中には1頭着地するかな...と思っています。
▲202日齢
現在は時々育児嚢から顔を出している段階で、着地後も2ヵ月程は育児嚢を出入りします。運が良ければ見られるかもしれませんが、全てはこどもの気分次第。こどもの様子や詳細は、少しずつお知らせしていきますので、今しばらくお待ちください。
飼育下でも野生でも、カンガルーの死亡率が最も高いのは育児嚢から出た後~1才を迎えるあたりです。母親から100%守られてきた育児嚢時代と違い、感染症や思わぬ事故など外の世界は危険がいっぱい。4年ぶりとあって、私もなんだか以前よりも過保護気味になっているので、天候などによっては展示状況を変更することが今後多々増えるかと思いますが、どうぞご理解の程よろしくお願いします。
どうか元気に育ちますように。
(しばた)