更新日:2023.08.14カンガルーブログ カンガルーのひみつ①育児嚢はいつからある?
カンガルーブログ カンガルーのひみつ①育児嚢はいつからある?
先日SNSにあげた育児嚢の中の様子はご覧いただけましたか?あの映像は、目が開き毛も少し生えたごく最近のものです。今回のブログはさらに若齢の頃の動画から、抜き出してご紹介します。
カンガルーを含めた有袋類は、ご存じの通りメスに育児嚢があります。対するオスには睾丸があります。ちなみに、糞・尿・赤ちゃんは別々の道を通った後、全て総排泄孔(総排出孔)と呼ばれる一か所の出口から出てきます。おしりの穴は1つで、これは鳥類も同じです。睾丸は総排泄孔の手前(腹側)にあります。
▲オスの睾丸はココ
カンガルーは育児嚢から出てきた段階で、雌雄を区別することが出来きます。さて、いったいこの育児嚢と睾丸は、いつごろから見られるのでしょう?古い文献を探ると、睾丸は出生数日前から睾丸となるふくらみが存在し、育児嚢は生後しばらくしてから徐々に形成されていくようです。なので、熟練した専門家が見ると出生直後でも雌雄判別が出来るのだそう。一体どんな性差があるのか、とっても気になりますよね?
せっかくトレーニングをしたので、今回の繁殖に際しぜひ記録に残そう!と思っていたのですが、なんとまさかの全頭メス!雌雄どちらでも喜ばしいのですが、比較データの採取は次回に持ち越しとなりました。
それでは、今回はこどもの育児嚢について見ていきます!
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まずは16日齢、下半身です。
ちょっと分かりづらいので、補足します。青い矢印に部分。つるんとしたお腹です。
続いて22日齢。
少し目が慣れてきましたか?一応こちらも補足しますね。変わらず、すっきりしたお腹です。
もう少し成長します、ちょっと引きの画像で30日齢。だいぶカンガルーらしくなってきました。育児嚢内は意外と毛がたくさん生えています。湿度高めな感じも伝わるでしょうか?育児嚢の中は最適な湿度が保たれており、まだ毛のないこどもの繊細な皮膚を乾燥から守っています。
ちょっと腹部が良く見えないので、次いきます。43日齢。
ミルクをたっぷり飲んでいるであろう、幸せの詰まったお腹ですね。でべその様に見えるものが総排泄孔です。総排泄孔の手前は何もなさそう、相変わらずつるんとして見えます。お腹の中央あたりに、ちょっとした凹みが見えますね。
黄色っぽく見えているのは排泄物。育児嚢内やこどもの体・排泄物は母親が舐めて掃除して、清潔にしています。
次は61日齢。
お腹の中央、言われてみれば浅い袋にも見えなくない???
66日齢。
これはもう育児嚢ですね!!というわけで、個体差は多少あると思われますが、43日齢頃には袋っぽいものが見られるようです。
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ちなみに、オスの場合の睾丸はこんな感じ(青丸)で見られます。矢印は総排泄孔。
写真の個体は立派に成長し、現在オスチームとしてガラスビュー側の展示場で活躍中です。
このような感じでこどもの成長や育児嚢についてなど、少しづつ報告していこうと思っていますので、気長にお付き合いください。
(しばた)