更新日:2022.03.02かいぼり
かいぼり
1月のとある日、金沢自然公園内の水場でかいぼりを行いました。
かいぼりというのは、池の泥を掘り上げたりする作業です。池は手入れをしないと、土や落ち葉でどんどん狭くなり、水質も悪くなります。
自然の池というのは川の流れや洪水で形成され、定期的に泥が流されたり、形や場所が変わったりします。しかし、今の日本にはそのような場所はほとんどなく、人が作ったため池などがほとんどです。もちろん、定期的に洪水になっても困るので、そうならないように作られます。そうすると、自然の力で池がリフレッシュされることもないので、人が作った池は手入れが不可欠なのです。
かいぼりで池をリフレッシュさせることは、池に棲む生き物の生息環境を良くするためでもあります。泥と一緒に魚などが取り除かれてしまわないように、池に棲む生き物を一時避難させる作業を行いました。
ずっと晴れていたのに、この日だけ雨。残念な天気でしたが、20人以上の職員が集まり手伝ってくれました。
とても寒いですが、生き物の為にみんな頑張って作業しました。
避難と同時に生き物の調査や外来種の防除作業も行います。
こういった作業を続け、記録することで、人にも生き物にも良い環境になるように調べています。
1000匹以上のカワニナ(巻貝)も数えます。
メダカ(少なかった)や
モツゴ
トンボのヤゴなど
19種類1766匹の生き物が採集されました。
ザリガニや
メダカによく似たカダヤシなどの外来種もいます。
カダヤシはこの10年間のうちにみられるようになりました。特定外来生物といって日本の生き物に大きな影響を与える可能性があります。
実際にカダヤシがいなかった頃の記録と比べると、メダカがかなり減っています。
ヒメダカというペットショップで売られているメダカも見つかりました。見にくい写真ですが、右側のオレンジ色のメダカがヒメダカです。
野に放たれたカダヤシやヒメダカなどは野生のメダカに大きな影響を与えています。
他の地域から持ち込まれた生き物を、移入種や外来種などと言い、様々な問題が起きています。話すと長くなるので、また後日ブログにします。
人は池の手入れをして生き物にいい影響を与えることもあれば、生き物をあちこち移動させて良くない影響を与えることもあります。人間は自然に大きな影響を与えること、覚えておいてくださいね。
私たち動物園のスタッフも勉強したり、専門家と相談しながら自然に良い影響を与えられるように活動しています。
かいぼりと合わせてミズカンナという草の除去も行いました。
水辺に植物が生い茂っていると、良い環境のように見えますが、増えすぎたミズカンナは池をどんどん狭めてしまいます。
ミズカンナが悪いのではなく、どんな環境を目指すのか、そのためにどんな作業をするのかが大切です。今は、どんどん姿を消している日本の生き物、在来種にとっていい環境になるように作業を進めています。
リフレッシュされた池で、在来の生き物は増えてくれるでしょうか。調査しながら、見守りたいと思います。
先﨑