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ひっつき虫の写真

更新日:2024.08.29ひっつき虫

更新日:2024.08.29

ひっつき虫

暑さで外出するのも大変な時期ですが皆様いかがお過ごしですか。

やっと待っていた「ミズタマソウ」が咲きました。少し数が減りましたが、しだの谷の一番奥の階段を登ると中段の右にあります。

ミズタマソウ①

ミズタマソウ①.jpg

 

ミズタマソウ②

ミズタマソウ②.jpg

 花は白く花弁が深く切れ込んでいて、花弁が4枚あるように見えますが実は2枚です。花の下に

果実に成長する部分があります。この部分にたくさんのかぎ爪状のトゲがあります。このトゲが

まるでツユをかぶった水玉のように見えるので水玉草と呼ばれるようになりました。そして花の後、長さ3㍉程度の丸い果実が付き、ここに付いているカギ爪状のトゲが「ひっつき虫」になります。

「ひっつき虫」とは、服にくっつく植物の実や種子の総称です。野原や山を歩くと服にいっぱい植物の種がひっついて、取るのに大変な思いをしたことがありませんか?あれが「ひっつき虫」です。ミズタマソウも「ひっつき虫」のひとつです。なぜひっつくか?それは動物や人に少しでも遠くに自分の種を運んでもらうためです。そしてこの時期たくさんの「ひっつき虫」をしだの谷で、観察することができますのでいくつか紹介したいと思います。

 

 

ミズヒキ

ミズヒキ.jpg

上半分が赤、下半分が白の花をご祝儀袋に添える「水引」に見立てた名前がついています。

赤い花から白いカギ爪が見えています。このカギ爪でひっつきます。

 

キンミズヒキ

キンミズヒキ.jpg

 先に紹介した「ミズヒキ」と名前が似ています。黄色い花を咲かせるので「キンミズヒキ」との名になったのかもしれませんが、「ミズヒキ」はタデ科で、「キンミズヒキ」はバラ科の植物です。

その他にもこの時期には「ダイコンソウ」「ガンクビソウ」「ウマノミツバ」などを見かけます。少し先になると「ヌスビトハギ」も咲きます。

ヌスビトハギ

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 漢字で「盗人萩」と書き、盗人の忍び足の足跡に果実の形が似ていることからついた名前で、

果実の表面はカギ爪のある微細な毛でおおわれ服にくっつきます。

アレチヌスビトハギ

アレチヌスビトハギ.jpg

 こちらはヌスビトハギの仲間で北アメリカ原産の外来種です。花が鮮やかな赤紫色でよくめだちます。やはり果実の表面はカギ爪のある微細な毛でおおわれ服にくっつきます。

 「ひっつき虫」と言われる植物は、厳しい自然の中で少しでも自分の種子を遠くまで運ぶための植物の巧みな戦略です。「ひっつく」ために植物は様々な工夫を凝らしています。何げなく見てきれいだなと感じる植物ですが、そこには厳しい生き残り作戦があるんですね。

ののはな子