金沢動物園公式サイト

twitter facebook youtube
花壇の主役の交代の写真

更新日:2018.12.04花壇の主役の交代

更新日:2018.12.04

花壇の主役の交代

今年は寒さがなかなか来ないなぁなどと油断していたら、あっという間に師走を迎えました。

残る日々を数えると、なんとはなしにさびしい気持ちになります。

ha20181130-写真1.jpg夏~秋の花壇

自然公園内でも咲く花がめっきり減りました。

いつぞやも書いたように、ツワブキとサザンカが咲く頃になると、それは冬の到来のサインです。

咲く花を発信するものにとっては、今までのように材料を自由にそじょうに上げることもできず、

さて、何を書けばいいのかしらと悩ましい季節でもあります。

ha20181130-写真2.jpgレストラン前の旧花壇

ちょうどそこへ施設管理の担当者から、花壇の一斉植え替えの吉報(!)が入りました。

11月26日から28日にかけての三日間で園内すべての花壇を植え替えるので、

リースや香料のエッセンスの抽出などに使いたい向きがあれば、前日にでも採っていいということでした。

ha20181130-写真3.jpgコリウスの花が咲いてしまいました

今までの夏~秋の花壇は、ベッドを構成する植物がそれぞれ持ち前の成長度合いで伸びて、

パフォーマンスの峠を超え、全体としてのバランスが崩れてきていました。

ha20181130-写真4.jpg百日草とセンニチコウは花枯れ時の姿がきれいなのですが...

そのうえ、寒さが本格化すると、サルビア、ベゴニア、ペンタスのように、戸外で越冬が難しいものも出てきます。

この地域は三浦半島の付け根にあって、そんなに強い霜が降ることはありませんが、

例えば急激に気温が5℃以下に下がって、霜が降りるとなると、草花にはショックです。

しおれた花枯れ姿ほど見苦しいものはありませんものね。

そうなる前に先手を打つことです。

ha20181130-写真5.jpgニコニコゲートの立体花壇、だいぶ草姿が乱れてきました

金沢自然公園では年に3回、花が絶えないように、アプローチ花壇の総植え替えを実施しています。

短期間で集中的に行う、効率的で無駄のない人海戦術です。

今回は、花壇がどのような冬の花に変わるのか簡単にご紹介します。

ha20181130-写真6.jpgバックヤードで新しい花の出番待ち

今までの花壇は、センニチコウ、ジニア(百日草)、コリウス、

センパフローレンス(四季咲き性ベゴニア)、インパチェンスなどが主力でした。

いずれも暑さ、乾燥に強く、個性的な色、形が鮮やかで魅力的で、私たちの目を楽しませてくれました。

それに引き換え、冬はただでさえ寂しくなってしまう季節ですから、寒さ、乾燥に強くて長持ちするのはもちろんのこと、

花壇に彩りを添える華やかさが欲しくなります。

これで手間要らずに育ってくれたら最高ですね。今回植えた花はだいたい以下の通りです。

ha20181130-写真7.jpg台車に満載して移動します

【ハボタン】

江戸時代に渡来してから正月の門松や生花に必須の植物でしたが、戦後の日本で特に改良が進んで、

今や、この季節万能の花材です。

青汁の原料になるケール(キャベツの仲間)が原種と考えられるので、味はともかく、

葉っぱはブロッコリーやカリフラワーのように食べることができます。

【シクラメン】

原種ペルシカムは地中海沿岸が原産のため霜が苦手で、以前はもっぱら冬季は室内で観賞する鉢花でしたが、

今ではそれも克服されて、多少の霜にあたっても路地植えで楽しむことができます

ha20181130-写真8.jpgレストラン前の更新後の様子

 

【パンジー/ヴィオラ】

19世紀にヨーロッパで、主としてサンシキスミレと他種との交配から生まれた品種群です。

この両者は近年急速に改良が進んで、区別が不明瞭になってきました。

夏の蒸れに弱く、いったん寒さに当たると元気が出る長日性植物ですが、

現在はほぼ周年で咲かせることができるようになっています。

【カレンジュラ(キンセンカ)】

これも原産地は地中海沿岸です。宿根草タイプの改良種は丈も低く抑えられて次々とよく咲きます。

ha20181130-写真9.jpgシクラメンとハボタンのコントラストが鮮やかです

【ストック】

南欧原産のアブラナ科アラセイトウを改良したもので、我が国には江戸初期に渡来し、

切り花として利用されてきましたが、庭では一般的に秋まき一年草として扱われています。

【シロタエギク】

キク科のセネシオ属を中心とした植物で、寒さに強く、茎葉に細かい毛が密生して全体が青みを帯びた銀白色になります。

他の花と混植するとよく引き立ててくれます。

【ノースポール】

キク科のフランスギクの仲間を改良したもので、比較的小振りな径3㌢くらいの白い小菊です。

放っておいてもどんどん育って大きなボール状になってくれます。

ha20181130-写真10.jpgののはな館ポーチのボックス そのうち間からチューリップが顔を出します

【ジャノメエリカ】

南アフリカ産のツツジ科の低木で、つぼ形のピンクの花をびっしり着けます。

花のまん中の黒い雄しべがちょうど蛇の目を思わせることから名付けられました。

花が大変長く保ちます。

 

まだ定植されたばかりで、ちょっとぎこちない気がしないでもありません。

しかし、いったん定着すれば、お互いに馴染んでもっとしっとりした雰囲気になることでしょう。

園内の散策がより一層楽しくなること請け合いです。

ha20181130-写真11.jpgニコニコゲート入口 エリカでシックに決めました

遅ればせながら、紅葉が進行しています。

周辺の既存の山がコナラやクヌギの黄色や茶色に染まってきました。

イロハモミジはぼちぼち赤くなっています。

見頃を迎えた晩秋の金沢へぜひお越しください。お待ちしています。

(担当:マグノリア)