更新日:2016.07.13今年の夏。アカアシドゥクラングールの夏! ①
今年の夏。アカアシドゥクラングールの夏! ①
アカアシドゥクラングール。
「世界一カラフルできれいなサル」と呼ばれるこのサルは、日本ではズーラシアでしか飼育されていないためか、国内の知名度はそんなに高くありません。
そんなアカアシドゥクラングールにとって、脚光を浴びるチャンスの到来です。
みなさんと一緒に最高の夏にしましょう!
と、その前に、
日本国内ではメジャーではないアカアシドゥクラングールが、世界ではどんな風に扱われているかご紹介しましょう。
遡ること2年前、2014年のお話しです。
3rd International Conference Conservation of Primates in Indochina(第3回インドシナ霊長類保全国際会議)がベトナムの希少霊長類救護センターが主催で開催されるとの情報を得ました。
アカアシドゥクラングールの生息国での霊長類の会議ということで、「ぜひ参加したい!」思いましたが、この会議を知った時、すでに参加申し込み期限を過ぎていたのです。
諦めきれず、ダメもとで主催者に参加希望の打診をしたところ、快く参加許可をいただき参加することができました。
この会議は5年毎に開催されており、今回で3回目。
研究者やNGOスタッフ、動物園関係者など14か国から80名程が参加していました。日本からの参加者は霊長類研究者2名と私の3名。
動物園関係では北米やヨーロッパ、中国などから参加がありましたが、保全関係の仕事に従事している人がほとんどで、飼育担当はあまりいませんでした。
インドシナに生息するテナガザル、ロリス、ラングールといった様々な霊長類について生息地での保全活動や飼育下での事例紹介、分類学的なものや分布に関する研究など多岐に渡っていいました。その中で、アカアシドゥクラングールに関する発表は、「Son Tra自然保護区でのアカアシドゥクラングールの社会生態について」と「希少霊長類救護センターでのラングールの繁殖と人工哺育について」の2題がありました。
「Son Tra自然保護区でのアカアシドゥクラングールの社会生態について」では、生息地での野外調査で得られたアカアシドゥクラングールの月ごとの行動域変化、1日のうちの行動変化や離合集散の割合、採食内容やその割合などが報告されました。野生のアカアシドゥクラングールに関する研究は多くなく、貴重な報告を聞くことができました。
「希少霊長類救護センターでのラングールの繁殖と人工哺育について」は、ベトナム全土から密猟や違法飼育などで保護される多くの霊長類がやってくる希少霊長類救護センターからの報告でした。希少霊長類救護センターはアカアシドゥクラングールの飼育数も多く、繁殖の経験も多くあります。また、幼獣で保護された場合は人工哺育を行うことから事例数も多く、人工哺育の方法も確立されていました。この報告から得た希少霊長類救護センターでのアカアシドゥクラングールの飼育方法や人工哺育の様子は、その後に行うこととなったズーラシアでのアカアシドゥクラングールの人工哺育にとても役立ちました。
つづく
(飼育展示係 川口)