更新日:2019.03.17ありがとうダンダン
ありがとうダンダン
3月のある日の朝、ホンドタヌキのダンダンが死亡しました。
推定年齢11歳のおじいちゃんタヌキでした。
ダンダンは2008年に交通事故にあったところを保護され、ズーラシアにやってきました。
元気になってからも今後野生で生きていくことは難しかったため、再び放野(野生に帰すこと)することなくズーラシアで生活することになりました。
私がズーラシアで働くことになって初めて担当になったのがホンドタヌキ(とホンドギツネ)で、そのうちの1頭がダンダンでした。
ダンダンはかなり臆病で、慣れない人が獣舎に入ってくるとパニックになったり巣箱に引きこもって出てこなくなったりするようなタヌキでした。
私が先輩からタヌキの飼育管理についての引継ぎを受けている際も、あまり顔を見せてくれませんでした。
私はダンダンが一日でも早く落ち着いて生活できるようになるために、毎日積極的に声を掛けるようにしていました。
そんな生活が続き、いつしかダンダンは扉手前の淵まで来てくれるようになりました。
初めて来てくれた時はとても嬉しくなり、近寄ったらちょっと後ずさりされてしまいました。笑
それからは扉手前の淵のところに座っていることが多くなり、日数を重ねるごとに近寄っても逃げられるということはなくなりました。
金網の隙間からはみ出る毛をつんっと触ってみようものなら「それは違う」と言っているかのようにそそくさと離れていきましたが、いつしか朝の挨拶をする時は大抵ここにいてくれるということが普通になっていきました。
展示場でのお昼寝が気持ちよくて、なかなか部屋に帰ってこないため迎えに行ったり
夏になり、換毛が始まるとなぜかカモメ型の眉毛が生えているかのようになったり
冬になり、あたたかく眠れるようにと作ってみた藁ベッドを毎日愛用してくれたり
寝室とサブ運動場の間に座って動かず、「サブ運動場の掃除ができないよ」とちょっと困ったり
(結局ダンダンの気の済むまでそっとしておいたことを覚えています。)
ダンダンとの思い出はこのブログだけでは書ききれないくらいたくさんあります。
日課になった声掛けは、出会ってから別れるまでずっと続きました。
一緒に過ごした3年間、いろいろなところでダンダンに助けてもらい、感謝の気持ちでいっぱいです。
大切に接してきたので今回の別れはとても寂しく辛いものですが、別れを引きずるのではなく、ダンダンがこの3年間で教えてくれたことを忘れずに今後も仕事に励んでいくことが自分にとってもダンダンにとっても良いことであると思っています。
動物園の中での注目度は低かったかもしれませんが、私にとっては花形の存在でした。
長年ダンダンを応援してくださった皆様、ありがとうございました。
※最後に※
現在タヌキ舎で暮らすホンドタヌキはマル(♂)のみとなりました。
ダンダンと同じく老齢個体であるため、日によっては体調管理のため非展示になることがあります。
ご迷惑をおかけしますが、何卒宜しくお願いいたします。
飼育展示係 相澤