更新日:2020.07.17フクの治療
フクの治療
Jambo~~(「`・д・)「ガオオォ
アクセスありがとうございます!!!!!!!!!
前回はフラビアが採血出来るようになったよ~(*・ω・)ノ
というブログを更新致しましたが(前回のブログは→こちら)、どうして無麻酔下で採血できるということがそんなにも重要なのか?についてをお話します。
実はこの春、フクが体調を崩していました。
3/12朝、昨日まで元気だったフクに、突然急性腹症の症状が現れたのです。
すぐに獣医師を呼び様子を見ていましたが、いつもと明らかに様子が違うため、緊急で麻酔をかけ、開腹して診察を行いました。
検査の結果、胆嚢(たんのう)に疾患があることが分かりました。
胆嚢には肝臓で作られた胆汁を貯める働きがあり、フクはこの胆嚢が詰まっていたため、嘔吐の症状が見られたようです。胆嚢疾患は犬や猫によく見られる疾患です。
ライオンはネコ科といえ、イエネコとは体の大きさだけではなく、内臓のつくりも異なるため開腹時間は約5時間に及びました。
ライオンは大型かつ危険な動物なので、人手もかなり必要です。
ズーラシアの獣医師だけではなく、金沢動物園、野毛山動物園の獣医師も手伝いに来てくれました。
さて、この日からフクの治療開始です。
【開腹後1日目】
このように、ぐったり横たわるフク。
私がライオン担当になってから、このような姿は見たことがありませんでした。
ライオンとは直接同じ空間に入ることが出来ません。
治療をするのにも、全て柵越しで行う必要があるため、とても大変です。こんなに弱っていても、猛獣は猛獣です。安全に飼育管理をしなければなりません。
【開腹後2日目】
次の日になると、やっと頭をあげるように...!
飲水も見られ、少しずつ少しずつ回復傾向にあるのが表情から伝わります。
【開腹後3日目】
3日目になるとつに立ち上がり、隣の部屋のニノに向かって鳴いたり、肉も少しずつ食べるようになってきました。尿の色も通常の色に戻ってきました。
【開腹後4日目】
やっとスノコに移動するように...!
ちなみに、お尻の辺りに刺さっているのが注射です。ここに薬を入れ、投薬をします。この治療が効果的だったのか...
【開腹後5日目】
立ち上がって、隣の部屋に向かって吠えるようになりました!
この頃から自ら採食をするようになり、薬を肉に入れて経口投与で治療ができるようになってきました。
188キロあった体重が155キロまで落ちました。
ライオンは野生だと、狩りが上手くいかずに何週間も絶食の状況が続くことがあるため、非常に飢餓状態に強い動物です。毎日ライオンたちと向き合っていても、ライオンの生命力には驚かされることばかりです。
体調を崩しても隣のメスに向かってか細い声で必死に呼びかけます。
【開腹後6日目】
ここまで回復すればもう安心!
ではあるのですが、見た目では分からない状態を調べるのに採血が重要です。
さあ、最初にご紹介した、
「どうして無麻酔下で採血できるということがそんなにも重要なのか?」
この答えがまさにこれです。
2週間に1回、血液検査で経過観察をすることにより、より精密な治療ができます。
フクはトレーニングをしていたので無麻酔下での採血が可能でした。その後、約3ヶ月ほど検査と治療を続けました。もしこれができなかったら、適切な治療をすることができませんでした。
【すっかり元気になりました☆4/24のフク】
ここまでグングン回復しているフクのを姿見てきて、「生きる強さ」を肌で感じました。
それと同時に、フクにとって何か一番幸せなのか?何が最善なのか?そういった【動物福祉について】を考えるキッカケにもなりました。もちろん、フクだけではなく、全ての動物に言えることです。
動物園の動物たちも、生きています。
生きていれば、病気や怪我をすることがあります。
このブログを書くことによって、フクのファンの皆様にご心配をおかけしてしまったり不安にさせてしまうかもしれない...とも思いもありましたが、動物園という場は楽しむ場所であり、同時に命を学ぶことができる場でもあります。
こういった出来事をお伝えすることによって、ぜひ「いのち」について考えていただけると嬉しく思います。
これからも、動物たちにとって最善の飼育管理ができるよう、精進してまいります!
ちなみにフクは、今では投薬も終了し、おかげさまで完全に回復、元気いっぱいです!(*゚ヮ゚)
体重もすっかり元通り!先日測定したところ、186kgでした!
先日7/7(七夕♡)に久しぶりのニノとの同居を再開しました。
大好きなニノと再会できて良かったね(・ω・)♡
これからもライオンたちがしあわせに、健康に過ごせるように毎日向き合っていきたいと思います。
みなさまぜひ、ライオンたちに会いに来てくださいね♪♪
(7月より屋内展示を再開しています)
飼育展示係 鈴木(由)