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ありがとう、フラビアの写真

更新日:2021.01.05ありがとう、フラビア

更新日:2021.01.05

ありがとう、フラビア

Jambo〜〜(「`・д・)「ガオオォ

本日は皆様にとても悲しいお知らせをしなくてはなりません。

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20201224日、フラビアが死亡しました。
記者発表資料はこちら

このようなお知らせをしなくてはいけない事になり、非常に申し訳ない気持ちでいっぱいです。


原因は
"胃ねん転"です。

ご家庭で犬や猫を飼っている方は聞いたことがあるかもしれません。

なんらかの原因で胃がねじれて、発症すると短時間で危険な状態に陥る病気です。

 
前日までいつも通り食欲もあり元気いっぱいでした。

じゃあね、フラビア。おやすみ。また明日ね。」と声を掛けたのが最期のお別れとなってしまいました。なんの異変もなく、あまりにも突然の出来事だったので、担当者としても理解が追いつきませんでした。
 
 

 
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フラビアは2015年1029日、3歳の時に、ウガンダ野生生物教育センター(Uganda Wildlife Conservation Education Center・UWEC)から、ウガンダと横浜の友好の証としてズーラシアにやって来ました。

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こちらがウガンダ時代のフラビアの写真です。
ウガンダでは、
"木登りライオン"と言われるほど、木に登ることが大好きだったようです。



ズーラシアに来てからは、イベントでも大活躍!たくさんのお客様と餌やり体験を通し、ふれあいました。

フラビアは「ガーッ」と吠えながら前足をかくのが癖で、時々怖がられてしまうことも(^^;)


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そんな迫力のある姿を見て、ライオンを好きになってくださる方や、ライオンの野生での現状に興味を持ってくださる方が多くいました。


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おもちゃで遊んだり
...

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誕生日をお祝いしたり
...


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また、採血トレーニングも2年かけ、無麻酔で採血ができるようになりました。

他の個体は数日〜数ヶ月でできてしまう中、フラビアはゆっくりゆっくり、試行錯誤しながら成功まで至りました。


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ソラとの同居やシドウとの同居で、繁殖への取り組みも行っていました。

現場での取り組みだけではなく、糞中の性ホルモンの測定を行い、発情サイクルを割り出し同居のタイミングを図ったりなどにも取り組んでいました。

シドウとの同居も始め、これからだ...!という矢先の出来事で、やり切れない思いです。



私がライオン担当になったのは約
3年前。

フラビアの第一印象は「なんだ、この困り顔のライオンは!」でした。

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ライオン担当になる前はライオンについての知識も全然なく、担当になってからライオンをよく見るようになったり、勉強をするようになりました。

お恥ずかしいことに、初めてしっかり見たライオンがフラビアだったため、「へぇ、ライオンの耳って四角いんだ。」と思ってしまっていました。


しかし、耳が四角いのはなんとフラビアだけの特徴で、一般的にライオンの耳は三角形をしています。

そういった細かいことも、フラビアからたくさん学びました。


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こちらはニノです。耳は三角ですね。

フラビアはズーラシアの飼育個体の中でも特別に神経質で本当に色々なことに苦労しましたが、その分、フラビアとは色々な思い出があります。とても大切に大切に接してきました。


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↑体重測定をするフラビア
 
毎日一頭一頭と接するうちに、面白くて興味が湧き、いつの間にか私はライオンという動物に魅了され、ライオンが大好きになりました。


フラビアとの思い出はブログに書ききれないほどたくさんあります。

フラビアは私だけではなく、本当にたくさんの人々に笑顔や幸せをくれました。


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命あるものはいつか終わりがきます。


飼育の仕事をしていると、
"動物の死"を避けることはできません。何度経験しても死に慣れることはないし、本当に辛く悲しいです。

空いてしまった部屋を見たり、餌の時に早く餌をくれと扉をドンドン叩く音が聞こえなかったり、壁に尿スプレーしすぎて掃除が大変だったのに、もう壁が汚れていなかったり...とても寂しいです。


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しかし、立ち止まるわけにはいきません。

今生きている個体、そして将来の動物園、大きく言うと地球上全ての生命を次の世代へ繋げていくためにはフラビアの死を無駄にはできません。


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よく「動物園の動物は死んだらどうなるんですか?」という質問があります。

動物園では動物が死ぬと解剖して死因を突き止めたり、今後の研究につなげたりします。フラビアも解剖で"胃ねん転"ということが判明しました。

 
解剖によって見た目ではわからない内臓の疾患がわかったり、本や教科書ではわからないこともたくさん知ることができます。


もし今後別の個体が病気になり、手術や処置が必要な際はこの解剖の経験が役に立ち、助けられるかもしれません。

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フラビアにとってズーラシアで過ごした日々は幸せだっただろうか?と自問し、不安になったりもしますが、私にとって精一杯のことはできたのかなと思います。

この3年のフラビアと過ごした日々を通し、飼育員として非常に成長させてもらいました。フラビアは諦めず努力をし続けることの大切さを教えてくれ、悩んでばかりの私に自信をつけさせてくれました。私は心からフラビアが大好きです。


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本当にフラビアには感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとう、フラビア。

どうか、安らかにゆっくり眠ってね。フラビアはいつまでも私たちの心の中で生きています(^^)ズーラシアに来てくれて、ありがとう。


フラビアを愛してくださった皆様。本当に、本当に、ありがとうございました。


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素敵なお花もいただきました。ありがとうございます。


過去のフラビアのブログをまとめて貼らせて頂きます。
ぜひ、ご覧ください。


ウガンダからライオンがやって来た!
↑フラビア来園時のブログ(2015.11.13)

採血トレーニング始めました
↑トレーニング開始時のブログ(2018.08.21)

2年かけて、遂に・・!
↑トレーニング成功時のブログ(2020.06.19)

ソラとフラビアの出会い
↑ソラとの初めての同居時のブログ(2019.12.31)

2頭で初めての屋内展示場
↑ソラとの初めての展示場馴致時のブログ(2020.03.10


ソラとフラビアの展示場馴致~続編~
↑ソラとの展示場馴致続編ブログ(2020.03.12

ライオンのソラが出園しました② ~当日の様子と思い出~
↑ソラとのフラビアの思い出のブログ(2020.09.17

シドウとフラビア
↑シドウとの初めての同居時のブログ(2020.12.02)



引き続き、フク、ニノ、シドウもどうぞよろしくお願いいたします。


飼育展示係 鈴木(由)