更新日:2021.03.23群れ飼育と展示について
群れ飼育と展示について
Jambo~~(「`・д・)「ガオオォ
現在、ライオン舎には
フク(14歳・オス)、ニノ(8歳・メス)、シドウ(7歳・オス)の3頭が暮らしています。
ライオンという種は"群れをつくる"動物です。
ネコ科の仲間で群れをつくるのは、ライオンだけと言われています。
ライオンは"プライド"という群れで、構成は以下の通りです。
このように、
プライドは、「1~2頭のオス」「複数のメス」「子どもたち」から構成されています。
成熟してプライドから追い出されたオスが、別のプライドの群れのオスと闘争し群れを乗っ取ることで、オスが入れ替わるといった仕組みです。
"ライオンの子殺し"という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思いますが、こちらも本当の話です。
ライオンのメスは発情が定期的に来ますが、子育て中は発情が止まります。群れを乗っ取ったオスは強い自分の遺伝子を遺すことが目的なので、自分の子どもではない子ライオンたちがいるとメスの発情が来ないすなわち"遺伝子を遺すことができない"という障壁があるために、子殺しを行うと一般的には言われています。
メスたちも、強いオスがいないと過酷なサバンナで生き残ることができないのを知っているので、オス同士の争いを見守り、強い方のオスを受け入れます。
飼育下のライオンは生態だけではなく、個体の性格も大きく影響するので、隣同士の部屋にすらできない個体もいます。
例えば、フクとシドウ。
血縁関係もなく、すでに成熟したオス同士というのもあるのか、相性は良くありません。
通路と空き部屋を1つ挟んでいるにも関わらず、遠目にシルエットが見えるだけでもお互いフェンス越しに威嚇をし合います。
シドウとニノの相性を見るために隣室にしてみました。
しかし、ニノが非常に怒ってしまい、あまり相性はよくなかったため、現時点では2頭の同居は見送っています。
もちろん、部屋の配置や環境などにより、これから先変わる可能性はあります。
ニノの発情サイクルなども関係してくるので、今後の予定は未定です。
そのため、現在同居可能なペアはフクとニノのみです。
フクとニノはとっても仲良し(`・ω・´)
相性が良いのは紛れもない事実です。
が、しかし非常に対応の難しい期間があります。
フクのニノに対する執着があまりにも強すぎて、その執着が始まると数日間フクががっちりとニノをガードし、ニノが動けなくなる時があるのです!
ライオンという種自体がそういった傾向にあるようですが、オスからメスへの執着が強い時期は、展示場から帰ってこなくなったり、サブ運動場から寝室に戻ってこなくなってしまいます。オスは、餌を置いても食べずに、メスの側から離れません。
ズーラシアでも、最初はニノの発情の有無だろうと考えていたのですが、観察してみるとどうやら発情とは関係のない時もこの現象は起こっており、個人的な推測ではありますが、単純に性格的な"ニノへの執着"が関係していると考えられます。
ニノも、反撃はしませんが、その期間だけはちょっとだけフクが苦手なようです(笑)
フクはニノに攻撃をすることはありません。ただ執着が強いだけなのです。(そんなにニノと一緒にいたいのね...)
そして、その一定の期間が終われば、とっても仲良しなフクとニノに戻ります。普段はニノからフクにしつこくスリスリして、かえってフクが迷惑そうにしている時もあるくらいです。
この現象はライオンあるある(?)のようで、執着の強い期間は結構苦労します。
というわけで、フクがニノへの執着が強く離れない場合は、移動できなくなってしまうので、2頭が落ち着くまではフクとニノの展示をすることができません。
その際はシドウのみの展示となります。申し訳ございませんが、ご了承ください。
このように、毎日試行錯誤しながら、少しでもライオンたちの暮らしが豊かになったらいいなと様々なことに挑戦しています。
これからも、なるべく動物たちにストレスがかからないような飼育管理をしていきたいと考えていますので、ご理解のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
飼育展示係 鈴木(由)