更新日:2021.03.01先週のチンパンジー⑤
先週のチンパンジー⑤
最近は気温は低いが日差しは暖かい日が多いのでみんなで日なたぼっこをしています。
実はチンパンジー10頭が展示場そろっているところは担当者でもなかなか見ることはできません。それぞれの個性がとてもよく出ているいい写真です。
カズヤはくつろぎながらもリーダーらしく時々見回りをしています。
この光景を見ることができるのは午前中が多いです。
午後になると気温が下がるため、体調を考え早めに屋内展示場に移動します。
今回はそんな屋内展示場の様子を少しだけご紹介します。
屋内展示場はあまり広いスペースではありません。
そのため様々なことが起こります。
①子どもたちは退屈しておとなのチンパンジーにちょっかいをだします。遊んでくれるおとなもいますが大概は軽くあしらわれてしまいます。しかし、反応してもらえるのが楽しいのかちょっかいがエスカレートし、ケンカへと発展してしまいます。
②メス同士のケンカは日常茶飯事なので大したケンカにはなりませんが、力が強いオス同士のケンカは大きなケガにつながる場合もあります。動物園でチンパンジーの群れの中にオスが複数頭いることがあまりないのは、そういった理由でもあります。普段は仲の良いカズヤとケンジも、群れの中に発情したメスがいるとお互いの距離が近い影響もあり、緊張感が高まる場合もあります。
上の写真はカズヤとケンジが小競り合いしている様子です。
人間同士でも「お互いの距離が近い」という理由で問題が起こりますが、チンパンジーでもそういったことが起こる場合があります。それらの問題を解決するため、飼育員は日々知恵をふりしぼり対策しています。
様々な種類の新鮮な葉っぱを用意したり
ヘイキューブ(乾燥した牧草をキューブ状に固めたもの)をおやつとして与えたり
チンパンジーとコミュニケーションをとるのも大切です。
色々な姿を見ることができます。
一見、よくない事が多いように見える屋内展示場ですがよい点もあります。
①リーダーのカズヤは群れ全体を確認しやすく、ケンカの際にすぐに止めに入ることができます。
②温度が一定なので体を冷やすことがありません。(気温が低くなってから屋内に移動させると時々チンパンジーに遅いと怒られます)
③そして、お客様からはとても観察しやすいです。近くで見られるため、体のつくりや人との違いを見ることができるだけでなく、個体同士のコミュニケーションもじっくりと見ることができます。
屋内展示場にいる時は近くで観察するチャンスです。
個体ごとの色々な表情を見つけてください。
2年目飼育員 脇田