更新日:2021.03.10キンタのこと
キンタのこと
2月2日、ゴールデンターキンのキンタツーが死亡しました。
生前は皆様にご愛顧いただき、またその死に際しては多くの方に悼んでいただきました。
改めてお礼申し上げます。
キンタは(正しい愛称はキンタツーですが、ここでは普段担当者が呼んでいた「キンタ」で書かせていただきます)、2003年3月17日に多摩動物公園で生まれ、2005年6月28日にズーラシアに来園しました。
(来園時搬入風景)
来園翌年はまだこんな、いかにも成長途上という体つきでしたが、
立派に成長し、2012年にはメスのターコとの間にヒナタが生まれました。ズーラシアで初めての繁殖でした。
オスのゴールデンターキンとしてはかなり小柄でしたが、それでもこの頃はいかにも「ゴールデンターキン」らしい立派な体格と毛色を持っていました。
私が担当になった2016年には、ゴールデンターキンの中では高齢にさしかかる年齢になっていました。
その頃は娘のヒナタと2頭でしたが、若いオスのロウや、若いメスのメイが来園して、キンタは一頭で展示するようになりました。
他の個体よりも目立つ場所で反芻してくれたので、展示効果もありとても助かりました。
穏やかな性格だったので、部屋の移動などイレギュラーなことでも難なく受け入れてくれた、本当に手のかからない個体でした。
隣にトウホクノウサギがいてもお構いなし。
そして娘のヒナタも繁殖に成功し、孫にあたるミカゲが生まれ、次世代へと命をつないでくれました。
「孫」とわかっていたわけではないと思いますが...
ゴールデンターキンの担当になって、実はこのキンタの飼育に一番悩みました。高齢個体でしたので、やはりどんどんと体が衰える時期。それに合った餌や、様々なケアが求められました。
その甲斐あって、なのか。キンタ自身の力なのか。2020年の12月にはオスのゴールデンターキンでこれまでの(記録がわかっている限りの)最高齢を更新してくれました。
もちろん担当者としては、もっと長生きしてほしかった、長生きさせたかったです。充分生かせることができたかと問われれば、飼育員としては否と答えざるを得ません。
そう思いますが、いまズーラシアにいるゴールデンターキンはみな、最高齢でもヒナタの9歳と比較的若い個体ばかりです。彼らが高齢個体になる前に、また高齢個体となったときに、キンタとの取り組みで得られたものを活かすことで、キンタの年齢を超えて行ってくれれば、と思っています。
今は、お疲れ様。
飼育展示係 太田真琴