よこはま動物園ズーラシア公式サイト

twitter facebook youtube instagram
サン、ありがとうの写真

更新日:2023.08.21サン、ありがとう

更新日:2023.08.21

サン、ありがとう

みなさま、こんにちは。

冬を元気に乗り越えたというブログの次が、悲しいお知らせとなってしまいました。(前回のブログ:冬を乗り切る秘策③、④)

 

2023年7月25日。アカアシドゥクラングールのサンが死亡しました。

【飼育日誌】20230819:サンありがとう.jpg

サンはまだ1歳半でした。

誰よりも元気に跳び回り、みんなの枝を片っ端から奪っては嬉しそうに食べるやんちゃ坊主。

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (2).jpg

↑サオの枝も

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (3).jpg

↑ワニの枝もつまみ食い

これからどんどん大きくなり、いつか父親のラーを超える立派なオスになりそうだと思っていた矢先に、突然のお別れとなってしまい無念でなりません。死因はくも膜下出血でした。

なぜ、そうなってしまったのかは現在調査中ですが、本当に突然の体調不良、そして経過がとても早く、検査や治療を行いましたが、回復には至りませんでした。

暑さに強いアカアシドゥクラングールではありますが、1歳のサンにも同じことがいえたのか...何か前兆を見落としていたのではないか...と普段撮っている写真や動画を見返し反省する日々です。

 

サンは2022年1月29日に誕生しました。

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (4).jpg

生まれてからしばらくは頭のてっぺんが剃り込みみたいになっているのが個性的でした。

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (5).jpg

いつの間にか剃り込みは消え、どんどんと活発に、そして大きくなっていきました。

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (6).jpg【飼育日誌】20230819:サンありがとう (7).jpg

↑展示場へと続く通路(シュート)でもアクロバティックに遊ぶ

甘えん坊な一面もありましたが、どちらかというと母親からは離れて元気に遊びまわる、誰とでも一緒にいられる子でした。

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (8).jpg

母親のワニはベテランママなので、サンを自由にさせながらも、危険がないかいつでもしっかり見ていました。

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (9).jpg

今もサンが展示場から戻ってくるのを待っている姿を見ると胸が痛くなります。

餌はしっかりと食べているので、時間が解決してくれることを願って見守っています。

最近でも抱っこされていることはありましたが、ぐんぐん大きくなっていたので抱っこというよりしがみついているような感じでした。

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (10).jpg

↑2022年4月上旬撮影

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (11).jpg

↑2022年6月撮影

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (12).jpg

↑2023年6月撮影 大きさも顔つきも毛のふわふわ具合も立派になりました

 

サオはサンにとって姉のような存在でした。

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (14).jpg

生まれて数日のサンを嬉しそうに抱っこしていました。

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (13).jpg

いつしか抱っこはしなくなりましたが、お互いに気になる存在だったのか隣で並んで餌を食べていることが多く、

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (15).jpg

サンに寄り添い、見守っていたように感じます。

 

姉のホアは遊び相手。

毎日毎日展示場でも寝室でも走り回って、跳び回って、取っ組み合いをしてずっと遊んでいました。

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (17).jpg【飼育日誌】20230819:サンありがとう (18).jpg

本当に仲の良い姉弟でいつでも楽しそうでした。

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (19).jpg

寝室では2頭が糞を踏みながら遊びまわるので、至る所に糞のスタンプが...毎日の掃除が大変で大変で仕方がなかったですが、それもよい思い出だったなぁと今になって思います。

カメラを向けるとすぐに跳んできてカメラをいじるので、近すぎてなかなか写真が撮れませんでした。

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (20).jpg

 

そしてサンが大好きだった父親のラー。

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (21).jpg

優しくて大きいラーのことが本当に大好きだったサンは気づくとラーの横にいて、同じポーズをしていることが多くありました。

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (22).jpg

半年以上前、体重測定のために一時的にサンとラーを2頭にした際、不安になったサンはラーに抱きついていました。ラーはそれを困ったような顔をして受け止めていました。

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (24).jpg

それが1か月前に久しぶりにサンとラーを2頭にした際にはサンは鳴きもせず、仲良く餌をもりもり食べていました。

餌を奪おうとして怒られることもありましたが...

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (25).jpg【飼育日誌】20230819:サンありがとう (26).jpg

↑よく起きるコナツナ争奪戦

サンにとってとても心強い存在だったラーといるときは、いつも少し自信があるように見えました。

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (27).jpg【飼育日誌】20230819:サンありがとう (28).jpg

 

初めてのものにも果敢にチャレンジする好奇心旺盛な子でもありました。

ショウガやネギやハイビスカスなど初めて見るものなのにみんなと一緒になって食べていました。

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (29).jpg

↑ショウガを食べて口があぁぁぁぁ(゜Д゜)となったサン

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (30).jpg

↑1歳の誕生日にはハイビスカスの花をプレゼントしました

書ききれないくらいサンとの思い出はありますし、載せきれないくらいたくさんの写真もあります。

この先、ラーたちの群れの写真でサンが写っているものがあるかもしれません。

その時はサンを思い出し、懐かしんであげてください。

 

今回のことで気候が良くても体調を崩す可能性は大いにあると思い知りました。

未来ある、幼いサンが死亡したことは悔しく、悲しいです。

しかし、決してサンの死を無駄にすることなく、その症状や経過を記録し、この先ずっと伝えていくことが大事だと思っています。

そして、他の個体で同じことが起こらないように、細心の注意を払い、今いる子たちにしっかりと向き合っていかなければなりません。

これから先、サンのこと、サンに起きたことを絶対に忘れずにみんなが健康で過ごせるように尽力していきたいと思います。

 

サン

かわいい表情、しぐさをたくさん見せてくれてありがとう。

みんな元気だから安心してね。

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (31).jpg

安らかに。

【飼育日誌】20230819:サンありがとう (32).jpg

【飼育展示係 くわばら】