更新日:2023.12.03イッちゃんについてのご報告
イッちゃんについてのご報告
前回のブログで産室や産箱内で休むイッちゃんを紹介しましたが、そんなイッちゃんの様子を観察するため、19日の朝、監視カメラのモニターのスイッチを入れると...
モニターに映ったのは、いつもとは違う呼吸の速いイッちゃんでした。
その姿に一瞬ひやっとしたものの、モニターからは聞きなれない声が!待ちに待った、新しい命の誕生でした。イッちゃんの秋の変化は出産の準備だったようです。
11月18日から19日にかけて、イッちゃんから産まれた2頭の赤ちゃんは同じ場所で身を寄せ合い、大きな声で鳴いていました。イッちゃんは、その赤ちゃんたちをなめたり、大きな手で優しく抱き寄せたり、おなかを出して授乳を促したり...
その育児の様子はとても落ち着いていました。
残念ながら1頭は授乳が確認できず死亡しましたが、残る1頭の赤ちゃんはだいたい2時間おきくらいに授乳のサインといわれる笹鳴きが確認でき、鳴き声も日に日にどんどんと力強くなってきていました。
野生のホッキョクグマは、降り積もった雪に穴を掘りその巣穴の中で出産し、巣穴で過ごす期間はごはんも食べずに育児を行います。そのため、ズーラシアでも同様の静かな育児環境を整え、イッちゃん親子の様子は監視カメラで観察を行っていました。
赤ちゃんが乳首に吸い付けば、落ちないようにそっと赤ちゃんを支えたり、赤ちゃんが股の方に転がればそっとくわえて戻したり、そんなイッちゃんの育児の様子と聞こえてくる笹鳴きに、ほっと安心する毎日の繰り返しでしたが、10日齢になると、突如笹鳴きの間隔が長くなり、その後もう1頭の赤ちゃんも残念ながら死亡しました。
懸命に育児を行うイッちゃんの様子を見守る日々でしたが、モニター越しでも赤ちゃんが成長している様子がわかり、乳首へ吸い付くことも上手になってきていたただけに、この急な変化は予想だにしないことでした...。イッちゃんは産箱を離れることなく変わらず赤ちゃんをそっと抱きしめたり、なめたりしていましたが、1日経過してから産箱を離れたため、これまでの生活環境へと戻しています。今後はイッちゃんの様子に合わせ、展示も再開の予定です。
産まれてきてくれた2頭の赤ちゃんがこのような結果となってしまったこと、本当に残念でなりません。そして、このような悲しいお知らせになってしまったこと、申し訳ございません。
すでにゴーゴは察して、イッちゃんが見える窓に張り付き、興味の先はイッちゃんだけになっています。そのため、ゴーゴはご覧になりにくいことが増えるかと思います。そして、また時期がくるようでしたら2頭の同居も行う予定です。そんな2頭の関係が実を結ぶよう、今回の経過を振り返り、次の機会に繋げられるよう前に進んでいきます。
担当:いとうさくら